募集型・受注型企画旅行契約「責任」では、3つの責任①損害賠償、②特別補償、③旅程保証について、その特性と関連性について解説をしてきましたが、この項では、②特別補償について、さらに詳しく解説していきます。
特別補償金の種類 | |||||||||
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初めに2つの補償金(1.死亡補償金と2.後遺障害補償金)についてみていきましょう。
1.死亡補償金 |
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旅行で傷害を被ったことが直接の原因として、事故の日から180日以内に死亡した場合に支払われる
※行方不明、遭難して30日を経過しても発見されない場合は、行方不明、遭難した日に死亡したものと推定する(航空機が墜落、登山で遭難) |
補償金額 ※補償金といった場合この金額のことを指す |
・海外旅行 2.500万円 ・国内旅行 1.500万円 |
2.後遺障害補償金 | |
旅行で傷害を被ったことが直接の原因として、事故の日から180日以内に後遺障害が生じた場合に支払われる
後遺障害とは・・・ 傷害(ケガ、外傷など)が治ったあとも、機能の重大な障害が回復出来ない状況が続くことや、身体の一部が欠損することをいう ※事故の日から180日を超えてなお治療を要する状態にあるときは、181日目の医師の診断で後遺障害の程度を認定して、後遺障害補償金を支払う 後遺障害補償金は、事故の日から180日以内に治療が終了してもなお回復が見込めない後遺症が残ったり身体の一部が欠損したときに支払われる補償金であるが、181日目になっても治療が引き続き行われている場合は、このように対応する |
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補償金額 | |
死亡補償金を元に、以下の表の割合を乗じた金額が、後遺障害補償金となる(一部抜粋) | |
・両目が失明した | 100% |
・片耳の聴力を完全に失った | 30% |
・片足(片腕)の機能に障害が残った | 5% |
・片方の母指の機能に著しい障害が残った | 15% |
例)海外旅行中に事故に遭い、片足の機能に障害が残った場合 2.500万円 ✕ 5% = 125万円が後遺障害補償金として支払われる ※上限は海外旅行は2.500万円、国内旅行は1.500万円 |
次に2つの見舞金(3.入院見舞金と4.通院見舞金)についてみていきましょう。
3.入院見舞金 | |
平常の業務に従事すること又は平常の生活ができなくなり、かつ、入院した場合、以下の表に記した区分に従って支払われる ※1日の入院でも支払われる | |
見舞金 | |
入院日数 | 金額(国内) |
180日以上 | 40万円(20万円) |
90日以上180日未満 | 20万円(10万円) |
7日以上90日未満 | 10万円(5万円) |
7日未満 | 4万円(2万円) |
例外 | |
実際に入院しない場合も、医師の治療を受けたときは(その状況にある期間)は、入院日数とみなされることがある 例)後遺障害補償金が支払われる内容の治療(視力・聴力の低下、神経障害) |
4.通院見舞金 | |
平常の業務に従事すること又は平常の生活ができなくなり、かつ、通院した場合に支払われる ※3日以上から支払われる
いかなる場合も、事故の日から180日を経過した後の通院に対しては、通院見舞金は支払われない。 |
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見舞金 | |
通院日数 | 金額(国内) |
90日以上180日未満 | 10万円(5万円) |
7日以上90日未満 | 5万円(2万5千円) |
3日以上7日未満 | 2万円(1万円) |
例外 | |
傷害を被ったために仕事日常生活に著しい障害があると旅行業者が認めた場合、その期間は通院日数とみなされることがある 例)コルセット、ギブス、松葉杖などの使用 |
募集型・受注型企画旅行契約「責任」で説明した「損害賠償」と「特別補償」の関連性、また「死亡・後遺障害補償金」と「入院・通院見舞金」の関連性を解説します。組み合わせは以下の通りです。
賠償金・補償金・見舞金の関連性 | ||||||||
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それでは、それぞれの組み合わせをみていきましょう。
1.損害賠償金 と 補償金(死亡、後遺障害) |
旅行業者に故意・過失がある場合、損害賠償責任が発生する |
補償金の金額は、損害賠償の金額により決まる(両方お合計額が支払われるわけではない) |
1.損害賠償額が補償金より多い場合
海外旅行中に旅行者が死亡(旅行業者の過失) 損害賠償金の4.000万円が支払い額になり、内訳は、損害賠償金が1.500万円、補償金が2.500万円となる |
2.損害賠償が補償金より少ない場合
海外旅行中に旅行者が死亡(旅行業者の過失) 補償金の2.500万円が支払い額になり、内訳は、損害賠償額が1.500万円、補償金が1.000万円となる |
2.死亡補償金 と 後遺障害補償金 |
死亡補償金と後遺障害補償金が重複した場合、補償金(2.500万円、1.500万円)が限度額となる |
海外旅行で事故に遭い、後遺障害補償金を受取った旅行者が、その後死亡した。
例えば、後遺障害補償金を750万円受取っていた場合、その後死亡した場合は、2.500万円から750万円を差し引いた額、1.750円を支払う (合計2.500万円) |
3.補償金(死亡、後遺障害)と 見舞金(入院、通院) |
償金(死亡、後遺障害)と見舞金(入院、通院) の両方が支払われる場合は、その合計額が支払われる |
海外旅行で傷害を負い、帰国後10日間入院したが、その後死亡した。
・入院見舞金:10万円 |
4.入院見舞金 と 通院見舞金 | |||||||||
入院見舞金と通院見舞金の両方が支払われる状況として以下のようなケースがあげられる
例題)海外旅行で身体に傷害を被り、旅行終了後7日間入院した後、3日間通院した
①通院日数と②入院日数で大きいほうの額が支払われる ①通院日数の算出方法 ②入院した日数:7日間 ①通院日数と②入院日数で見舞金の支払額を計算すると、 よって、このケースは②の金額のほうが大きく、10万円が支払われる |
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例題)海外旅行で身体に傷害を被り、旅行終了後5日間入院した後、2日間通院した
①通院日数 ②入院した日数:5日間 ①通院日数と②入院日数をそれぞれ前の表で確認すると よって、このケースは①の金額のほうが大きく、5万円が支払われる |
①の通院日数の計算方法はしっかりと覚えましょう。