餌付けについて




新潟県にある瓢湖(ひょうこ)という湖には冬の間、およそ5000羽の白鳥が飛来する日本一の白鳥の飛来する湖として有名ということですが、少々残念な気持ちになったので今回のお題とさせていただきました。

そもそも白鳥など野生の渡り鳥は、その飛来する場所が天然的(地理的・餌の確保)に都合が良いから毎年決まった時期に同じ場所に飛来するものです。

それが人間の手によって(餌付けによって)人工的に飛来地をつくってしまったどうなるでしょうか。

黙っていても毎日餌にありつけるとなれば、毎年何千羽と白鳥が飛来するのは当たり前です。これって飛来地として自慢できることでは決してありません。もうこれは動物園と同じです。

ここ瓢湖では、1日に3回、白鳥に餌付けタイムがあり、それが観光客の目玉になっているようですが、ちょっと考えてみてください。そもそも野生の動物に餌付けをすることは許されるのでしょうか。私の知る限り、いわゆる自然保護に力を入れている国々で、野生の動物に餌付けを許可している国は聞いたことがありません。罰金刑、もしくは懲役もある国もあり得ます。

この湖では、「日本で最初に野生の白鳥の餌付けに成功した」そうですが、野鳥の保護などをうたっている世界中の団体からすると生態系的に考えてもとんでもないことです。野鳥は世界中を旅しているのです。

今回は瓢湖の事例だけを取り上げてしまい申し訳ありませんが、日本中にあふれかえるニホンザルやイノシシ、鹿など、日本中には本当にたくさんの場所で同じことが行われています。

これを「文化だ、日本は日本」と言われてしまっては元も子もないですが、多くの湿地帯がラムサール条約に登録されている日本としては、しっかりとした法整備も含め、認識を変えていく必要があるのではないでしょうか。そもそも日本自らラムサール条約への登録を申請しているのであれば、なおさらです。(ラムサール条約とは、条約加盟国が自ら登録申請をした湿地帯について事務局が登録を認可するもので、ミシュランのように外部から選ばれるのではない。)

自然は自然、観光は観光。地域の人も観光客によって得る利益が重要なのは重々承知ですが、餌につられてよって飛来した白鳥をみて、本当に感動するのでしょうか。自分にはそれが池の鯉に餌をあげるようにしか感じません。

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