運送約款 国際航空運送約款「払戻し」




旅客の都合または航空会社の都合により、航空券の払戻しが行われる場合、どのような規定があるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

払戻しを受ける人
・航空券上に旅客として記名されている人
・十分な証拠(ID、領収書など)が提出されることを条件に当該航空券を購入した人
1.航空券上に旅客として記名された人以外の人が航空券を購入し、その購入者が払戻しを受ける人を指定する場合
・会社は払戻しを受ける人につき制限のある旨を記載し、その購入者の指定する人に対してのみ払い戻す
※制限はあるが、その航空券を購入した人が払戻しを受ける人を指定することができる。(成人した息子が両親のために購入した航空券)
2.紛失航空券の場合を除き、旅客用片または旅客控及びすべての未使用搭乗用片会社に提出された場合に限り払戻す
3.旅客用片または旅客控及びすべての未使用搭乗用片を提出し、払戻しを受けることができると主張する人に対して行った払戻しは有効な払戻しであり、会社は真正な権利者に対し重ねて払戻しを行う責任を負わない
※仮に「払戻しを受けることができると主張する人」が権利のない者であっても、払戻しは有効となり、その後に真正な権利者が主張しても払戻しを受けることはできない。

 

旅客の都合による航空券のキャンセルや、航空会社の都合によりフライトがキャンセルになったために航空券が払戻しになる場合は、それぞれどのような規定が設けられているのでしょうか。

旅客が旅客の航空券による運送を利用できなかった場合、航空会社による払戻しが行われます。

航空会社の都合による払戻し
1.会社が航空便を取り消した場合
2.合理的な範囲を超えて航空便をスケジュールどおりに運航することができなかった場合
3.旅客の到達地若しくは途中降機地に寄航しなかった場合
4.予約された便の座席を提供できなかった場合
5.旅客が予約を持っている乗継便への接続を不能にした場合
6.運送の拒否及び制限(第10条)に該当した場合
※上記1~5までの条件は、第7条(経路等の変更、運送不履行及び接続不能)「会社の都合による経路等の変更」と同じ。

 

航空会社が払戻しを行う場合、その航空券が未使用であるか、または旅行の一部が既に行われているかにより払戻しの規定が変わります。

払戻す場合
1.旅行がまったく行われていない場合
・支払済の運賃額
2.旅行の一部が行われている場合
・支払済の運賃額と運送済区間の運賃額との差額
3.旅客が会社の要請により、運賃を支払ったクラスより下のクラスを使用する場合
・クラスの変更が生じた区間における、当初予定していたクラスの普通運賃と変更後のクラスの普通運賃との差額
※運賃支払時に割引が適用されている場合は、当該差額を適用された割引率により減じた額。

 

航空会社の都合による払戻しを解説してきましたが、「旅客の都合による払戻し」とは、航空会社の都合による払戻し以外を指します。航空会社の都合による払戻しと同様に、航空券が未使用であるか、また一部が既に使用済みであるかで規定が変わってきます。

旅客の都合による払戻し
1.旅行がまったく行われていない場合
・支払済の運賃額から会社規則で定める取消手数料を差し引いた額
2.旅行の一部が行われている場合
・支払済の運賃額と航空券が使用された区間に適用される運賃との差額から、会社規則で定める取消手数料を差し引いた額
3.紛失航空券の払戻しを行う場合
・紛失航空券払戻手数料は同一の旅客の単一の運送契約を構成する航空券1件につき10,000円(または10,000円に相当する外貨額)
・紛失の証拠及び払戻しの請求が、紛失航空券の有効期間満了日から30日以内(ANA:有効期間満了日の翌日から起算して30日以内)に会社に提出されること
・紛失航空券またはその一部分が使用または払戻されておらず、代替航空券が発行されていないこと
・当該払戻しを行ったことにより、または事後に当該紛失航空券が運送・払戻その他のために使用されたことにより、会社が被る一切の損失を賠償することに払戻しを受ける人が同意すること

 

最後に、航空会社が旅客への払戻しの拒否をする場合について、どのような場合があるか、確認してみましょう。

払戻しの拒否
1.航空券の有効期間満了日から30日(ANA:有効期間満了日の翌日から起算して30日以内)を経過した後になされた払戻請求
2.出国の意思を証するものとして会社または官公署に提示された航空券は、以下の証拠を提示しなければ払戻しを拒否することができる
・旅客がその国の滞在許可を持っていること
・他の運送人若しくは他の輸送機関により出国すること
※ある国へ入国後に復路の航空券の払戻しをする場合、その国に滞在可能なビザ(永住権、就労ビザなど)を持っているか、または他の航空会社や輸送機関を使って必ず出国することを証明(証拠を提示)しなければならない。
3.運送の拒否及び制限(第10条)(A)項第(6)号から第(8)号までのいずれかの規定により運送を拒絶され若しくは降機させられた場合

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