旅行業法「定義」の中のひとつ、「一定の行為」の中に旅行相談業務がありました。度旅行業法の「定義」とは何か、もう一度確認してみましょう。
旅行業とは
- 報酬を得ていること
- 旅行者や旅行サービスの宿泊・運送機関から報酬を得ること
- 一定の行為を行うこと
一定の行為とは、大まかに以下の行為を指す- 旅行者と運送・宿泊などのサービス提供者との間に立ち、旅行サービスを手配する業務
- 旅行者のために(依頼で)運送または宿泊のサービスの提供を受けられるように手配する業務(企画旅行、手配旅行)
- 企画旅行、手配旅行に付随する業務で、レストラン手配や遊園地などのチケットなどを手配する業務
ex. 1泊2日のツアーが提供する夕食や観光地の入場チケットの手配 - 旅行相談業務(有料の場合)
- 事業としていること
- 幹事がお宿から謝礼をもらったなどは事業に該当しない(事業としていない)
- 登録制度:旅行業を営むためには旅行業の登録が必要
旅行相談業務

「旅行相談業務」において、旅行業者は、旅行業務取扱料金(相談料金)を収受して以下の行為を行います。
- 旅行者が旅行の計画を作成するために必要な助言
- 旅行の計画の作成
- 旅行に必要な経費の見積り
- 旅行地及び運送・宿泊機関等に関する情報提供
- その他旅行に必要な助言及び情報提供
契約の成立時期
契約の成立時期において、企画旅行契約(募集型・受注型)、手配旅行契約との違いを比較してみましょう。ポイントは「申込金」と「書面の交付」です。
成立時期 | |
募集型 | 申込書と申込金を提出
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受注型 | 申込書と申込金を提出
<例外>
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手配 | 申込書と申込金を提出
<例外>
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旅行相談 | 申込書を提出
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拒否事由と解除事由
企画旅行契約(募集型・受注型)や手配旅行契約と同様に、旅行相談契約にも旅行業者が旅行者からの依頼に対し拒否または解除をすることがあります。
- 旅行業者の業務上の都合
- 旅行者の相談内容が公序良俗に反し、もしくは旅行地において施行されている法令に違反する恐れがあるとき
- 暴力団排除条項
- 旅行者が、風説を流布し、偽計を用い若しくは威力を用いて当社の信用を毀損し若しくは当社の業務を妨害する行為、またはこれらに準ずる行為を行ったとき(偽計威力業務妨害)
- 旅行者が、旅行業者に対して暴力的な要求行為、不当な要求行為、取引に関して脅迫的な言動若しくは暴力を用いる行為、またはこれらに準ずる行為を行ったとき
※拒否事由(1~5)、解除事由(3~5)
旅行業者の責任
旅行相談契約は、企画旅行契約(募集型・受注型)のような特別補償や旅程保証は契約の性質上存在しませんが、損害賠償は当然に発生します。
1. 損害賠償
- 故意または過失により旅行者に損害を与えた場合
- 旅行者が損害発生の日の翌日から起算して6ヶ月以内に通知したとき、旅行業者は損害賠償の責任を負う
ex. 間違えた情報により旅行者が損害を負う。
2. 相談内容の責任範囲
- 旅行業者が作成した旅行計画に記載した運送・宿泊機関等について、実際に可能であることを保証するものではない
- 満員等の事由により、運送・宿泊機関等との間で旅行者が当該旅行サービスの提供する契約を締結できなかったとしても、旅行業者は責任を負わない

旅行相談業務は、旅行計画の作成や相談に応ずる業務であるので、旅行計画について手配(手配旅行契約)は行いません。そのため、旅行者がその計画を実行するにあたり予約等の契約を締結できなかったとしても、旅行業者に責任は生じません。