旅行業法「取引条件の説明・書面の交付」
旅行者が旅行の説明を受け、最終的に契約をするまでを解説していきます。この項では「契約締結前」と「契約締結後」という言葉が頻繁に出てきます。契約が説明段階(契約前)なのか、契約後なのかを常に意識して問題に取り組みましょう。
契約の流れ
1.取引条件の説明(契約締結前)
- 取引条件の説明は、契約の成立前に必ず行わなければならない。
2.説明書面の交付(契約締結前)
- 説明を行うときは、原則として説明書面を交付しなければならない。
<例外>
以下の場合、説明書面の交付を省略できる。口頭による説明でよい。
※ただし、説明は必ず行わなければならない。
- 旅行業者が、旅行に関するサービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付した場合。
ex.JRの乗車券、航空券、宿泊券、スキー場のリフト引換券など。
- 旅行者の承諾を得て、電子情報処理組織(パソコン等)を利用して提供する場合。
ex.EメールにEチケットを添付、CD-ROM、USBなど。
※情報通信技術は、国土交通省令・内閣府令で定められたものを使用する。
⇨契約
3. 契約書面の交付(契約締結後)
- 契約成立後、旅行業者は速やかに以下のどちらかの方法で交付しなければならない。
① 一定の事項を記載した契約書面の交付
② 旅行に関するサービスの提供を受ける権利を表示した書面の交付(宿泊券、航空券、入場券など)
<例外>
以下の場合、契約書面の交付を省略できる。
- 電子情報処理組織(パソコン等)を利用する方法で提供する場合。
- 旅行相談契約を締結した場合(交付義務はない)
※第2章「旅行業約款(旅行相談契約)」で詳しく解説します。
説明書面、契約書面の記載内容
説明書面(契約締結前)や契約書面(契約締結後)に記載する内容は以下の通りです。
旅行の形態を1.「企画旅行契約(募集型・受注型)」2.「手配旅行契約」3.「旅行相談契約」の3つに分類すると、記載内容は以下のようになります。問題文を読むときのポイントは、①「契約前or契約後」②「企画旅行orそれ以外」です。この2点をしっかり確認してください。
1.企画旅行・手配旅行 共通
項目 | 説明書面 (締結前) |
契約書面 (締結後) |
1.企画旅行業者の氏名、名称、住所、登録番号 | ◯ | ◯ |
2.代理業者が契約を締結した場はその旨と代理人の氏名、名称、住所、登録番号 | ◯ | ◯ |
3.旅行業務を取り扱う営業所の名称・所在地(外務員が書面を交付する場合は、その氏名・所属営業所の名称・所在地) | ◯ | ◯ |
4.旅行業務取扱管理者の氏名、旅行者の依頼があった場合の最終的な説明責任義務 | ◯ | ◯ |
5.旅行の目的地、出発日、その他の日程 | ◯ | ◯ |
6.旅行者が旅行業者に支払う対価、収受の方法 | ◯ | ◯ |
7.旅行者が支払った対価によって提供を受ける旅行サービス内容 | ◯ | ◯ |
8.企画旅行の実施のために提供されるサービスに届出住宅(いわゆる民泊)が含まれる場合 ・住宅宿泊事業者の称号、名称または氏名、届出番号、宿泊予定の届出住宅 |
◯ | ◯ |
9.対価に含まれない旅行経費で通常必要とするもの | ◯ | ◯ |
10.契約の申込み方法・契約の成立に関する事項 ・契約時に必要な情報であり、契約成立後に記載する必要がない |
◯ | ✕ |
11.契約の変更、解除 | ◯ | ◯ |
12.責任、免責 | ◯ | ◯ |
13.旅行中の損害補償 | ◯ | ◯ |
14.旅行の参加資格を定める場合にあっては、その旨及びその資格 | ◯ | ◯ |
15.旅行者が取得することが望ましい安全・衛生に関する情報 | ◯ | ◯ |
16.契約締結の年月日 ・締結前には契約締結した年月日が分かり得ないので記入できない。 |
✕ | ◯ |
2.企画旅行のみ
項目 | 説明書面 (締結前) |
契約書面 (締結後) |
1.募集型企画旅行の最少催行人員・下回った場合の旅行中止の旨 ・募集型企画旅行契約のみ ※旅行者が依頼する受注型企画旅行や手配旅行では人数割れが起こり得ない |
◯ | ◯ |
2.専ら企画旅行の実施のために提供される運送サービスが含まれる場合、内容を勘案して、旅行者が取得することが望ましい輸送の安全に関する情報 | ◯ | ◯ |
3.全国通訳案内士または地域通訳案内士の同行の有無 | ◯ | ◯ |
4.旅程管理者が同行しない場合、旅行地での企画旅行者との連絡方法 ・旅程管理義務は企画旅行のみ ・連絡先は契約した旅行者のみに伝えればよい |
✕ | ◯ |
3.手配旅行のみ
項目 | 説明書面 (締結前) |
契約書面 (締結後) |
1.旅行業務の取扱い料金に関する事項 ・企画旅行には旅行業務取扱料金が含まれている |
◯ | ◯ |
4.旅行相談契約
項目 | 説明書面 (締結前) |
契約書面 (締結後) |
1.旅行業者に支払う対価、またその収受の方法 | ◯ | 交付義務ナシ ・どちらでもよい |
2.旅行代金に含まれる旅行者が受けることができるサービス内容 | ◯ |
企画旅行契約のみ、手配旅行契約のみ、締結前か締結後など、特に出題される部分は、理由もしっかりと理解しながら覚えましょう。
旅行サービス提供者に交付する書類(契約締結後)
- 旅行業務に関し取引をする者の氏名・商号・名称および住所
※相手が旅行業者等または旅行サービス手配業者の場合は、上記の他に登録番号 - 契約を締結する旅行業者等の氏名・商号・名称および住所・登録番号
- 旅行者に提供するサービス内容
- 旅行業者等が支払う取引額、取扱料金
- 契約を行う営業所の名称および所在地
- 契約を行う旅行業務取扱管理者の氏名
- 契約締結日
確認テスト
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