旅行業法「旅程管理」

企画旅行契約には2つの義務①サービスを手配する業務 ②旅程を管理する業務があります。ここではそのうちの「旅程管理義務」について解説していきますが、この旅程管理義務は、旅行業法(目的)の「旅行の安全の確保」と「旅行者の利便の増進」を図るために旅行業者に義務付けています。
旅程管理義務とは 企画旅行(募集型企画旅行、受注型企画旅行)を円滑に実施するために、旅行業法は旅行業者に旅程管理の義務を課しています。 |
企画旅行には募集型と受注型の2つの企画旅行があります。
募集型企画旅行 参加する旅行者を募集することにより実施する企画旅行(パッケージツアーなど) 受注型企画旅行 旅行者からの依頼により旅行計画を作成し実施する企画旅行(修学旅行、社員旅行など) |
旅行業者の旅程管理義務の内容は以下の通りです。
旅程管理の内容 |
1.旅行開始前 ・目的地、日程などの計画を作成 ・旅行サービスの確実な提供を確保するための予約、その他の措置 |
2.旅行開始後(旅行地)の管理 ・旅行サービスの確実な提供を受けるために必要な手続きの実施、その他の措置 |
3.変更を必要とする事由が生じた場合の代替手配や手続き |
4.集合時刻、集合場所の指示など、2人以上の旅行者が同一日程で行動する場合の円滑な措置 |
旅程管理の例外 |
下記の3項目が全て揃っている場合、上記内容の「2.旅行開始後(旅行地)の管理」、「3.変更を必要とする事由が生じた場合の代替手配や手続き」の旅程管理が免除される。 ※海外旅行は免除規定が適用されない(必ず旅程管理を行わなければならない) |
1.国内旅行であること |
2.旅程管理を行わないことを事前に説明していること |
3.サービスの提供を受けることのできる権利を表示した書面を交付すること(JR乗車券、宿泊券、テーマパークの入場券など) |
旅程管理を行うには、その旅程について管理を行う者が必要になります。
添乗員(ツアーコンダクター)とは 旅程管理を行う者を添乗員という。 旅程管理業務を行う者が複数同行する場合、そのなかの主任の者を添乗員という。 ※通常は1名の添乗員が同行するツアーがほとんどなので、その者が主任の者となる。 |
主任の者になるためには、一定の条件が必要です。
主任の者になるための条件 |
1.旅行業の登録拒否事由に該当していない者(旅行業法「旅行業務取扱管理者(登録の拒否)」を参照) |
2.旅程管理研修を修了している者 ・観光庁長官の登録を受けた研修機関(日本旅行業協会、全国旅行業協会、その他民間組織)で研修を受けた者 |
3.実務経験 以下の条件で旅程管理業務に従事した者 ①研修の日の前後1年以内に1回以上 ②研修の日より3年以内に2回以上 |
4.実務経験を得る方法 ①ツアーに旅程管理主任者と共に同行 ②登録研修機関(日本添乗サービス協会など)が実施する研修ツアーに参加 ③旅程管理主任者の指導による旅程管理業務に相当する実務研修を受講 |
5.旅程管理業務の範囲 ・海外旅行の旅程管理の実務経験:海外・国内の両方に同行が可能 ・国内旅行の旅程管理の実務経験:国内のみ同行が可能 |
旅行業法「取引条件の説明、書類の交付」の記載内容に「19.旅程管理者が同行しない場合、旅行地での企画旅行者との連絡方法」という項目がありました。このことから、旅程管理を行う者は必ずしも同行する必要がないということになります。(国内旅行のみ)