旅行業法 「旅行業務取扱管理者」




旅行業者等は、旅行業務を行う営業所ごとに旅行業務取扱管理者を専任しなければなりません。旅行業者等は業務の範囲によって以下のように3種類の旅行業務取扱管理者を選任することが出来ます。

業務の範囲

1.海外旅行を取扱う営業所
  • 総合旅行業務取扱管理者
2.国内旅行のみを取扱う営業所
  • 総合旅行業務取扱管理者
  • 国内旅行業務取扱管理者
3.限定された地域内のみを取扱う営業所
  • 総合旅行業務取扱管理者
  • 国内旅行業務取扱管理者
  • 地域限定旅行業務取扱管理者

※総合旅行業務取扱管理者は全ての業務の範囲で選任することができ、以降、国内・地域限定と業務範囲が限定されていきます。車の免許に例えると、大型・普通車・原付き免許といった感じになります。

 

旅行業務取扱管理者の選任については、以下のような基準や条件(欠格事由)があります。

旅行業務取扱管理者の選任

  1. 営業所に必ず1名以上専任しなければならない。
    • 管理者が欠けた場合、旅行業務に関する契約ができなくなる。 ※すべての業務ができなくなる訳ではないことに注意
    • 旅行業務に関する職務経験は必要ない
  2. 兼任の禁止
    • 他の営業所の旅行業務取扱管理者を兼任することはできない。
  3. 兼任の例外
    • 地域限定旅行業者、またそれを所属旅行業者とする旅行業者代理業者は、以下の条件のにより、1人の旅行業務取扱管理者が複数の営業所を兼任することができる。
      1. 複数の営業所間の距離が40㎞以内
      2. 前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引額の合計が1億円以下

欠格事由

  1. 旅行業・旅行業者代理業・旅行サービス手配業の登録を取消され、取消の日から5年を経過していない者
  2. 禁固以上の刑または旅行業法違反による罰金刑に処せられ、執行が終わった日から5年を経過していない者
  3. 暴力団員等(暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者)
  4. 申請前5年以内に旅行業務または旅行サービス手配業務に関し不正を行った者
  5. 申請者が未成年者で、その法定代理人が上記の1~4に該当する者
  6. 心身の故障により旅行業若しくは旅行業者代理業を適正に遂行することができない者として国土交通省令で定める者、または破産により復権を得ていない者

 

選任された旅行業務取扱管理者は、その営業所において旅行業務に関し「管理」「監督」しなければなりません。以下が旅行業務取扱管理者が管理・監督しなければならない項目です。

旅行業務取扱管理者の職務

  1. 旅行に関する計画の作成
  2. 旅行業務の取扱い料金の掲示(12条)
  3. 旅行業約款の掲示及び備置き(12条2第3項)
  4. 取引条件説明(12条4)
  5. 契約書面交付(12条5)
  6. 旅行の広告(12条7,8)
  7. 企画旅行円滑な実施のための措置(旅程管理業務)(12条10)
  8. 旅行に関する苦情の処理
  9. 契約締結の年月日、契約の相手方その他の契約の内容に係る重要な事項についての明確な記録または関係書類の保管
  10. その他、取引の公正旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項

※旅行業法は、「取引の公正」「旅行の安全」および「旅行者の利便を確保」するために、旅行業務取扱管理者に「管理」「監督」させるように義務付けています。

 

旅行業者等は、旅行業務取扱管理者の職務に関して必要な知識や能力の向上を図るために、旅行業務取扱管理者に旅行業協会が実施する「研修」を受けさせることが義務化されています。

旅行業務取扱管理の研修

  1. 旅行業者等は、旅行業務取扱管理者について、5年ごとに旅行業協会が実施する研修を受けさせなければならない。
    • 選任された、または選任される予定のある旅行業務取扱管理者は研修を受けなければならない。
    • ただ単に試験に合格した者には研修の受講義務はない。(受講しなくても資格を失うことはない)
    • 旅行業協会とは、ANTA(全国旅行業協会)、JATA(日本旅行業協会)の2つ
    • 旅行業者等がこの規定に従わないと認められる場合、登録行政庁は、必要な措置を取るべきことを勧告することができる。
  2. 旅行業者等は、苦情の処理やその他の旅行業務取扱管理者の職務に必要な知識や能力の向上を図るための措置を講ずるよう努めなければならない。
    • 旅行業者等は、旅行業務取扱管理者について、苦情の解決に関する講習を受けさせるよう努めなければならない(努力義務)。

 

最後に、「旅行業務取扱管理者証」とこの後の項で学習する「外務員」の「外務員証」を比較しながら併せてみていきましょう。ポイントは「携帯義務」です。

旅行業務取扱管理者証 外務員証
携帯の義務なし 営業所以外で取引をする者は、必ず携帯
旅行者からの請求があった場合に提示 旅行者からの請求に関係なく、必ず提示
旅行業者が発行
旅行業者代理業者も自ら発行(所属旅行業者ではない)
様式
氏名・生年月日
顔写真(撮影月日)
所属営業所・発行日
法人の場合は、会社名・主たる所在地・代表者氏名
国土交通省令で定められた様式

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