旅行業法 「営業保証金」
旅行業法 「営業保証金」
登録申請から事業開始まで
旅行業を始めるには、「登録」と同時に「営業保証金」を供託しなけばならない。
- 登録行政庁に申請書を提出する。
- 登録通知が届く。
- 主たる営業所の最寄りの供託所に営業保証金を供託する。
- 登録通知後、14日以内に供託書の写しを登録行政庁に届出る。
- ⇨事業開始
※供託は、現金のほか、国債・地方債券など、国土交通省が定める有価証券も可能。
上記の4.「登録通知後、14日以内に供託書の写しを登録行政庁に届出る」を怠った(しなかった)場合、旅行業登録行政庁は、登録しようとする者に、以下のような「催告」をしなければなりません。
届出をしなかった場合
- 14日以内に供託した旨の届出をしなかった場合、7日間の期間を定めて、登録行政庁が催告する。
- 届出をした:事業開始
- 届出をしなかった:登録を取消すことができる。
営業保証金の供託額
「営業保証金」はいくら供託しなければならないのでしょうか。営業保証金の供託額は、基本的に旅行業の「種別」と「年間取引額」により決まります。登録初年度は取引額がわかりませんので、「年間取引見込額」により算定し、次年度以降は「前事業年度の取引額」で算定します。
前事業年度の取引額 | 第1種 | 第2種 | 第3種 | 地域限定 |
400万円未満 | 7,000万円 | 1,100万円 | 300万円 | 15万円 |
400万円以上5,000万円未満 | 7,000万円 | 1,100万円 | 300万円 | 100万円 |
5,000万円以上2億円未満 | 7,000万円 | 1,100万円 | 300万円 | 300万円 |
2億円以上4億円未満 | 7,000万円 | 1,100万円 | 450万円 | 450万円 |
- (新規登録の)営業保証金の額は、登録の申請時に添付した書類に記載した「年間取引見込額」により算出した額を供託する。
- (2年目以降)前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額に応じ、登録業務範囲の別ごとに定められる。
- 営業所ごとに営業保証金を供託する必要はない。営業保証金は旅行者との取引額に応じて決まるのであり、営業所の数で決まるわけではない。
前項「登録」で解説した「財産的基礎(資本金)」と比較してみましょう。「営業保証金」と混同しないように気をつけましょう。(営業保証金の第1種、第2種は「セブンイレブン」)
財産的基礎(資本金)
第1種 | 3,000万円以上 |
第2種 | 700万円以上 |
第3種 | 300万円以上 |
地域限定 | 100万円以上 |
代理業者 | 規定なし |
供託金の追加と取戻し
営業保証金の供託額は、基本的に旅行業の「種別」と「年間取引額」により増減しますが、供託額が増減する場合の「追加(取戻し)の時期」について解説します。
1.旅行者との取引が増減
- 毎事業年度終了後100日以内に旅行業務に関する旅行者との取引額を登録行政庁へ報告する。
- 増えた⇨事業年度終了後100日以内に追加供託
- 減った⇨直ちに取戻し
2.省令の改正による増減
- 国土交通省令の改正により営業保証金の供託額が変更になった場合。
- 増えた⇨省令施行の日から3ヶ月以内に追加供託
- 減った⇨直ちに取戻し
3.業務範囲の変更による増減
- 増えた(ex. 第2種⇨第1種)⇨事業開始までに差額分を追加供託
- 減った(ex. 第2種⇨第3種)⇨6ヶ月を下らない期間の公告後、取戻し
※「6ヶ月を下らない期間の公告」とは、最低6ヶ月以上の期間、官報や新聞への掲載や掲示などにより、広く一般に知らせること。
4.還付により不足が生じた場合
- 旅行業者と取引(旅行に参加)したことにより被った債権(損害)について、旅行者は、登録行政庁に申立てをすることにより、供託所へ還付請求をすることが出来る。
- 旅行業者等による債務不履行
↓旅行者が登録行政庁へ申し立て、証明書の交付
↓旅行者が供託所へ還付請求
↓供託所から旅行者へ還付、登録行政庁へ還付完了の通知
↓登録行政庁から旅行業者へ追加請求
- 旅行業者等による債務不履行
⇨通知を受けた日から14日以内に不足額を追加供託し、登録行政庁に届出る。
⇨14日以内に追加還付および届出がない場合、旅行業者の登録は失効する。
5. 旅行業の登録の抹消による取戻し
- 6ヶ月を下らない期間の公告後、取戻し。
※「6ヶ月を下らない期間の公告」とは、最低6ヶ月以上の期間、官報や新聞への掲載や掲示などにより、広く一般に知らせること。
6.旅行業協会の保証社員になった場合
- 保証社員の供託する「弁済業務保証金分担金」の額は、本来旅行業者が供託する「営業保証金」の1/5の金額になるため、保証社員になった場合は、供託金を取戻す事ができる。
- 6ヶ月を下らない期間の公告後、取戻し。
7.旅行業協会の保証社員でなくなった場合
- 保証社員の供託する「弁済業務保証金分担金」の額は、本来旅行業者が供託する「営業保証金」の1/5の金額になるため、保証社員でなくなった場合は、不足分の供託金を追加供託しなければならない。
- 保証社員でなくなった日から7日以内に追加供託
※この後の項「旅行業協会」(弁済業務保証金分担金)で詳しく解説します。
確認テスト
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