旅行業法「旅行業協会」




それでは旅行業協会について学習します。 旅行業協会とはなにか、旅行業協会の業務についてみていきましょう。

 

旅行業協会とは
「日本旅行協会(JATA)」と「全国旅行業協会(ANTA)」の2団体
・一般社団法人
・旅行業者、旅行業者代理業者、旅行サービス手配業者のみによって組織されている。
※旅行サービス提供者(宿泊・運送機関など)は入れない。

 

協会への加入・脱退
1.旅行業協会は、社員の資格について、旅行業者、旅行業者代理業者または旅行サービス手配業者の別以外の制限を加えてはならない。(旅行業法43条)
・旅行業協会は、社員としての資格を有する旅行業者、旅行業者代理業者または旅行サービス手配業者が旅行業協会に加入しようとするときは、正当な理由がないのに、その加入を拒み、またはその加入につき現在の社員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない。
※会社の規模(第1種、地域限定など)や取引額などによって加入制限をかけてはいけない。ここで疑問を持つ方も多いと思います。巷で売っているテキストには上記の説明しか載っていませんが、実際のところ、誰が入会できて誰が入会できないのかがよくわかりません。できる限りわかりやすく別のページに詳しくまとめてみましたので参考にしてみてください。「協会の入会について
2.旅行業協会は、新たに保証社員が加入し、または社員がその地位を失ったときは、直ちに、その旨を観光庁長官に報告しなければならない。(事後報告)
3.旅行業者等及び旅行サービス手配業者のみを社員とする
※旅行サービス提供者(宿泊・運送機関など)は入れない。
4.欠格事由に該当しないこと
①. 旅行業協会の指定を取り消され、その日から5年を経過していない者
②.法人であって、その役員のうち以下に該当する者
・旅行業の登録を取り消され、その日から5年を経過していない者
禁固以上の刑または旅行業法に違反して罰金刑を受け、刑の執行を終えまたは受けることがなくなって5年を経過していない者
・暴力団員等(暴力団員でなくなってから5年を経過しない者)
・申請前5年以内に旅行業務または旅行サービス手配業務に関して不正な行為をした者
・心身の故障により業務を適正に行うことができない、または破産者で復権を得ない者

 

旅行業協会の業務
1.旅行者・旅行サービス提供者からの苦情の解決
・旅行業、旅行業者代理業、旅行サービス手配業が取り扱った業務が対象。
保証社員(協会の会員)以外の者に対する苦情も対象になる。
旅行サービス提供者(宿泊・運送機関など)からの苦情も受け付ける。
2.旅行業務または旅行サービス手配業務に従事する者に対する研修
・全ての旅行業者、旅行業者代理業者、旅行サービス手配業者が対象。
※保証社員(協会の会員)以外の者にも研修を実施する。
旅行サービス提供者(宿泊・運送機関など)は入らない
3.保証社員(その代理業者)と取引をした旅行者への弁済業務
※旅行サービス手配業者についての規定はない(弁済業務保証金分担金の納付義務がない)
4.適切な運営を確保するための旅行業者等への指導
・全ての旅行業者、旅行業者代理業者、旅行サービス手配業者が対象。
保証社員(協会の会員)以外の者にも指導を実施する。
5.旅行業務および旅行サービス手配業務の取引の公正の確保、または旅行業者等の健全な発達のための調査・研究・広報
・全ての旅行業者、旅行業者代理業者、旅行サービス手配業者が対象。
保証社員(協会の会員)以外の者も対象になる。

「3.旅行者ヘの弁済業務」以外の事項は、保証社員のみならずすべての旅行業者・旅行業者代理業者・旅行サービス手配業者が対象になります。

それでは、「苦情の解決」についてもう少し詳しくみていきましょう。

苦情の解決
旅行業協会は、旅行者または旅行サービス提供者(宿泊・運送機関など)から、旅行業者等が取扱った旅行業務に関する苦情ついて行う。
1.保証社員以外の旅行業者等、旅行サービス手配業者が扱った業務に対する苦情も対象となる。
2.相談に応じ、必要な助言を行い、苦情の事情を調査し、当該旅行業者に内容を通知し、迅速な処理を求める。
3.必要があると認めるときは、旅行業者に対し、文書もしくは口頭による説明を求め、または資料の提出を求めることができる。(強制力はない
保証社員は、旅行業協会からの求めがあったときは、正当な理由なくこれを拒んではならない
※「保証社員は」という点に注意。「保証社員」でなければ、正当な理由がなくても拒むことができる。
4.強制権、裁定権はない(立ち入り調査、和解の強制、協会への加入命令等はできない)
6.協会は苦情に係る事情及びその解決の結果について、保証社員のみに周知させる。

旅行業協会は、「紛争解決について裁定を下す」ことではなく、「紛争に至るまでの事実関係を解明し、当事者に対して妥当な解決が図れるよう援助する」機関であるということを押さえておきましょう。

 

それでは、弁済業務保証金制度についてみていきましょう。 数字に関する問題が多く出題されますので、営業保証金と合わせて覚えてください。

納付金・供託金
弁済業務保証金分担金 営業保証金
1.納付時期 加入しようとする日まで 登録通知後、14日以内
2.納付・供託場所 保証社員が旅行業協会へ納付⇨協会が7日以内に最寄りの供託所に供託 旅行業者が主たる営業所の最寄りの供託所へ供託
3.届出先 供託後、供託書の写しを添付して登録行政庁へ届出
4.納付・供託方法 ・旅行業者から協会:現金のみ
・協会から供託所:国債証券、地方債証券などの有価証券も可能
現金、国債証券、地方債証券などの有価証券も可能
5.納付・供託額 営業保証金の1/5
例)第1種旅行業者の営業保証金は7.000万円、分担金は1.400万円
営業保証金」の項目を参照
「弁済業務保証金からの弁済限度額は、その業者が協会に加入していない場合に供託する営業保証金の額を下回ることができない。」
※保証社員は1/5しか納付していないが、旅行者には営業保証金の額が保証される
6.事業開始時期 旅行業協会へ分担金の納付後 登録行政庁へ供託書の写しを添付して届け出た後
7.還付を受ける者 旅行者のみ(運送・宿泊などのサービス提供者還付を受けられない)
8.旅行者の還付請求先 旅行業協会に申出て認証を受ける
供託所へ還付請求
登録行政庁に申立てて証明書交付
供託所へ還付請求
9.還付完了と通知 供託所から旅行者へ還付
旅行業協会へ還付完了の通知
供託所から旅行者へ還付
登録行政庁へ還付完了の通知

 

旅行者への還付により供託金が不足する事になった場合、旅行業者は以下の手順により供託金の不足分を追加納付しなければなりません。

旅行者への還付による不足額の納付・供託
弁済業務保証金分担金 営業保証金
1.供託金の不足額 旅行業協会から保証社員へ不足分の還付請求 登録行政庁から旅行業者へ不足分の還付請求
2.不足額の納付・供託 通知を受けた日から7日以内に還付充当金を協会に納付
⇨旅行業協会から供託所へ21日以内に還付額に相当する弁済業務保証金を供託
通知を受けた日から14日以内に不足額を追加供託し、登録行政庁に届出
3.納付・供託の不履行 保証社員の地位を失う
※旅行業の登録が失効するわけではないが、業務継続には営業保証金の供託が必要
・保証社員でなくなった場合、直ちに営業保証金を供託
・保証社員でなくなった日から7日以内に登録行政庁に届出なければならない
旅行業者の登録は失効する

 

旅行者への還付による供託金の減少以外にも、登録内容の変更によって供託金の不足による追加や取戻しが生じる場合があります。

変更登録による追加納付・供託
弁済業務保証金分担金 営業保証金
1.業務範囲の変更 変更登録を受けた日から14日以内に旅行業協会に納付 事業開始までに営業保証金の差額分を追加供託
2.取引額の増加 事業年度終了日の翌日から100日以内に旅行業協会に納付 事業年度終了後100日以内に追加供託
表現が違うが意味は同じ
3.省令改正による増加 省令施行後、3カ月以内に追加納付
弁済業務保証金分担金・営業保証金の取戻し
1.業務範囲の変更 6ヶ月を下らない期間の公告
2.取引額の減少 直ちに取戻し
省令改正による減少 直ちに取戻し
協会からの脱退・登録の抹消 6ヶ月を下らない期間の公告

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