海外旅行実務 出入国法令 旅券法「旅券の申請」
旅券法「旅券の申請」
旅券の申請について、はじめてパスポートを作る場合や、何らかの事情により有効期間内に再度パスポートを作り直す場合についてみていきましょう。
新規発給申請
旅券(パスポート)を新規に発給申請する場合も、以下のように2通りの場合があります。
1.新規発給申請
- 初めてパスポートを申請する場合。
- すでに有効期限が切れてしまっている場合。
- 紛失または焼失してしまった場合。
- 申請者本人が住民登録をしている都道府県に申請する。(例外:居所申請)
2.切替新規発給申請
- 残存有効期間が1年未満となったとき。(切替)
- 査証欄に余白がなくなったとき。(査証欄の増補)
- 1回に限り増補の申請をすることができる。
- 氏名や本籍地の都道府県等記載事項の変更があるとき。(4項目)
- 名義人の氏名
- 本籍の都道府県名
- 生年月日
- 性別
- 旅券の著しい損傷があるとき。
- 外務大臣または領事館が特に必要があると認めたとき。
3.残存有効期間同一旅券申請
上記の切替新規発給請求の項目で、以下の2つの理由により旅券の新規発給申請を行う場合、「残存有効期間同一旅券」を発給申請することができます。(選択可能)
- 「余白がなくなったとき」
- 「記載内容の変更があるとき」
「残存有効期間同一申請」とは、発行されて間もない、まだ十分に有効期間が残っている旅券を新たに5年・10年の新規新規申請するのではなく、現在持っている旅券の残存有効期間を有効期間とする旅券申請。(費用が通常の申請より割安)
申請に必要な書類
1.新規発給申請
- 一般旅券発給申請書(10年用、5年用)1通
- 戸籍謄本(原本)
- 写真1枚(6ヶ月以内に撮影)
- 本人確認書類
-
- 1点でよい書類
- 有効なパスポート(失効後6ヶ月以内まで)、マイナンバーカード(個人番号)、運転免許証、船員手帳、宅地建物取引士証など。
- 2点必要な書類(aがない場合)
- 健康保険証、国民健康保険証、国民年金手帳、厚生年金手帳、印鑑登録証明書(登録した印鑑も必要)、学生証、会社の身分証明書、公の機関が発行した資格証明書など。
- 1点でよい書類
-
2.切替新規発給申請
- 一般旅券発給申請書(10年用、5年用)1通
- 写真1枚(6ヶ月以内に撮影)
- 有効旅券(現パスポート)
- 戸籍謄本(基本不要)
- 未成年者で親権者と姓が異なる場合は必要。
- 18歳以上で内容に変更があった場合は必要。
- 住民票の写し(基本不要)
- 住民登録のない都道府県で申請する場合は必要。
※居所申請の場合は不要。
- 住民登録のない都道府県で申請する場合は必要。
3.戸籍謄本の提出を省略できる場合
- 有効な旅券を返納し、新たに申請する場合。
※氏名や本籍などの記載事項に変更がない場合に限る。 - 同一の戸籍内にある2人以上の者が同時に申請をするときに、いずれか1人が提出した場合。
- 国外で申請する場合で、有効な国籍証明書や船員手帳を提出する場合。
- 緊急に渡航する場合で、本籍の入った住民票の写しを提出する場合。
※詳しくは、外務省ホームページを参照。
有効期間
1.新規発給
- 5年または10年
2.切替新規発給
残存有効期間は新しい旅券の有効期間には加算されず、切替新規発給時から新たに5年または10年。(原則)
- 残存有効期間が1年未満となったとき。
- 査証欄に余白がなくなったとき。
- 氏名や本籍地の都道府県等記載事項の変更があるとき。
- 旅券の著しい損傷があるとき。
- 外務大臣または領事館が特に必要があると認めたとき。
3.残存有効期間同一旅券申請
返納した旅券と同一の有効期間満了日
- 査証欄に余白がなくなったとき。
- 氏名や本籍地の都道府県等記載事項の変更があるとき。
居所申請(きょしょしんせい)
海外からの一時帰国者などがパスポートの更新をする場合、居所申請という方法があります。「居所」とは、住所ではないが、ある程度継続して住んでいる場所のことをいいます。
- 住所を管轄する都道府県ではなく、居所を管轄する都道府県で旅券(パスポート)申請する。
1.条件
- 海外からの一時帰国者
※一時帰国者とは、国外に生活の本拠があり、一定期間、ホテル等に滞在した後、生活の本拠のある国外に出国する予定である者。 - 寄港地に上陸した船員
- 学生及び生徒
- 出張者、単身赴任者及び季節労働者
2.申請
- 申請者本人がおこなう。(代理申請は認められない)
- 申請日前6か月以内に発行された住民票1通が必要。(海外からの一時帰国者を除く)
旅券の二重受給の禁止
- 「旅券の発給を受けた者は、その旅券が有効な限り、重ねて旅券の発給を受けることができない。ただし、外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認める場合は、この限りでない。(旅券法第4条2)」
- 敵対関係にある国や地域との間を往復する場合など、旅券の二重受給が許可される場合がある。(例外)
ex.イスラエルと敵対関係にあるアラブ諸国。
例えば、あなたがイスラエルの査証(ビザ)や入国印があるパスポートを持っている場合、そのパスポートではイスラエルと対立関係にあるアラブ諸国への入国はできません。その場合、例外的に限定旅券の申請をすることになります。
署名
1.所持人自署
- 署名はそのまま旅券(パスポート)に転写される。
- 署名は、ローマ字に限らず漢字で行うこともできる。
- 代理して署名することもできる。
- 乳幼児、病気・身体の故障などで申請者自身で署名できないとき。
- 代理で署名したときは、申請者との関係を記入する代理署名できる者。
- 優先順位:
①法定代理人 > ②配偶者 > ③海外渡航に同行する者 > ④都道府県知事または領事館が認める者
2.法定代理人署名
- 18歳未満・成年被後見人が申請するとき。
※18歳未満でも既婚者が不要。 - 申請できる旅券は5年間有効に限られる。
代理申請
1.必要書類
- 「申請書類等提出委任申出書」1通(法定代理人の場合を除く)
- 申請者本人の身元確認書類
- 代理人の身元確認書類
2.代理申請できる者
- 配偶者
- 2親等以内の親族
- 申請者が指定した者(申請前5年以内に旅券法に当たる不正行為をしていない者)
※年齢などの制限はない。 - 法定代理人
- 法定代理人が代理申請する場合、「申請書類等提出委任申出書」の提出は不要。
「旅券の発給申請をするにあたり、申請者に代わり出頭する者は、当該申請の内容を知り、かつ、都道府県知事または領事館の指示を当該申請者に確実に伝達する能力がある者でなければならない。」
- 法定代理人が代理申請する場合、「申請書類等提出委任申出書」の提出は不要。
旅券の交付
原則的に、申請者本人が出頭することにより旅券が「交付」されますが、やむを得ない事由により、申請者が指定する者が「受領」することができます。
- 申請者本人が出頭することにより、旅券を交付する。(原則)
- 「一般旅券受領書」を持参する。
- やむを得ない事由により申請者本人が出頭できない場合、申請者が指定する者が旅券の交付(受領)を受ける。(例外)
- 病気、身体の障害など。
- 「一般旅券受領書」の他、「交付時出頭免除願書」に出頭できない理由を記入して、その理由を証明する書類(医師の診断書など)を添付して提出する。
確認テスト
確認テスト 海外旅行実務「旅券法」
PLAY AGAIN を押すと、新しい問題がランダムに出題されます。何度も違う問題に挑戦しましょう。