国内旅行実務 JR運賃・料金「割引運賃」


割引運賃の項目に入ります。「学生割引(学割)」「往復割引」「団体割引」など、数字に関する問題が多くなりますので、混同しないようにしっかりと覚えていきましょう。
割引運賃 | ||
往復割引 | ・営業キロが片道600㎞を超える(601km以上)JR区間を有効期間内に往復する場合 ・学生割引と重複適用できる ・片道運賃が1割引になる ・割引計算後の10円未満の端数は切り捨て ・通過連絡運輸扱いの場合も、前後のJR区間で営業キロが条件に達していれば適用される |
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学生割引 | 学生とは、JRから指定を受けた中学・高校・大学・専修・各種学校の学生・生徒をいう。 ・営業キロが片道100㎞を超える(101km以上)JR区間を乗車する場合 ・往復割引との重複適用ができる ・その区間の運賃が2割引になる ・割引計算後の10円未満の端数は切り捨て |

学生割引と往復割引については、重複して適用することができます(復学割)。計算方法を間違えると違った数字になってしまいますので、計算順序をしっかり覚えましょう。
往復割引と学生割引を同時に利用する場合(計算の手順) |
例題) 東京−岡山間の営業キロ:732.9km(10,670円)から復学割を計算する |
1.往路分(片道分)の金額から往復割引(1割)を引く(端数は切捨て) 10,670円×(1−0.1)=9,603円 ⇨9,600円(端数整理) |
2.1の金額から学生割引(2割)を引く(端数は切捨て) 9,600円×(1−0.2)=7,680円(往路分の復学割が完成) |
3.往復料金なので、往路分の復学割を2倍にする 7,680×2=15,360円(往復の復学割が完成) |
次は、もうひとつの割引運賃「団体割引」です。いろいろな数字がでてきて紛らわしいですが、しっかり覚えていきましょう。
団体割引とは、8人以上の旅客が同じ行程を一緒に旅行される場合に割引となるものです。
団体の種類 | ||
普通団体 | 学生団体と訪日観光団体以外の代表者が引率する8名以上の団体 | 第1期(繁忙期)10% |
第2期(第1期以外)15% | ||
学生団体 | JRの指定を受けた学校の生徒・児童8名以上と添乗員・教職員等で構成され、教職員が引率する団体 ※8名以上でも引率者がなく生徒・児童だけの団体は普通団体扱いとなる。 |
大人(小学生を含まない12歳以上) 通年50% |
小児(6歳以上12歳未満と小学生) 通年30% |
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職員、添乗員等 通年30% |
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訪日観光団体 | 訪日観光客8名以上とガイドなどの同行者で構成された団体 | 通年15% |
「普通団体」「学生団体」「訪日観光団体」と3つの団体についてそれぞれ割引額を記しましたが、「普通団体」と「訪日観光団体」には人数によって無賃扱いとなる特典があります。
無賃扱い |
・31人以上50人までの普通団体(訪日観光団体は15人以上50人まで)は、1人が無賃扱いになる ・学生団体には適用されない ・無賃扱いになる旅客は、特急料金やグリーン料金等も無料になる ・51人以上は50人ごとに1人が追加される(51~100:2人、101~150:3人・・・) |
団体の人数構成です。大きく2つの区分があります。
団体の人数 | 構成 | |
大口団体 | 専用の臨時列車が必要な人数の団体 | |
小口団体 | A小口団体 | 31人以上で構成された団体 |
B小口団体 | 8人以上30人以下で構成された団体 |
個人の旅客と違い、団体の予約にはいろいろな制約があります。
団体の予約 | |
大口団体 | ・出発日の9カ月前から2カ月前まで ・保証金は団体旅客運賃の1割相当額 ・保証金は、その後の運賃・料金に充当される |
小口団体 | ・出発日の9カ月前から14日前まで ・保証金は団体旅客運賃の1割相当額 ・指定席を利用する場合は、申込の9割(端数は切り捨て)に対して1人300円の保証金を支払う ・保証金は、その後の運賃・料金に充当される |
団体乗車券の発売日 |
・運送引受け後、旅客の始発駅出発日の1ヵ月前から発売 |
・指定券を発売する場合、始発駅出発日の11日前までに購入しなければならない ※特に期限を定める場合を除く。 |
最後に、団体割引運賃の算出方法について、例題を使いながら解説していきます。
団体割引運賃の算出手順 |
例題) 大人40人の普通団体が、8月30日に東京−熱海間を乗車、9月1日に湯河原−東京間に乗車した場合の割引運賃を求める。 |
1.大人1人分の運賃を求める 東京−熱海間の営業キロは104.6km(1,980円)、湯河原−東京間の営業キロは99.1km(1,690円) 1,980円+1,690円=3,670円(1人分の運賃) |
2.大人1人分の団体割引運賃を求める (大人1人分)3,670円×(1−0.15)=3,119.5円⇨3,110円(端数整理) ※行程が第1期(10%)と第2期(15%)にまたがっている場合、全行程を第2期の割引率で計算する。 |
3.普通団体は31人以上50人までは1人分が無賃扱いになるので、全人数40人から1人を引いて(39人)、その人数に1人分の団体割引運賃(3,110円)を乗じる 3,110円×(40人−1人)=121,290円(全人員の団体割引運賃) |