旅行業法「事業の廃止・業務の停止・登録の取消・業務改善命令・罰則」

それでは、「業務停止」と「登録の取消」について解説していきます。
業務停止・登録の取消し事由 |
登録行政庁は、以下に該当する場合、業務の全部または一部の停止を命じ、または登録を取り消すことができる。(どちらかをすることができる) ・業務の停止は6ヶ月まで ・登録行政庁は、旅行業者等の登録を取り消す場合は、遅滞なく、理由を付して、その旨を当該旅行業者等に通知しなければならない。 |
1.旅行業法に基づく命令に違反したとき(旅行業法施行規則も含む) |
2.登録拒否事由に該当することになったとき、または該当していたことが判明したとき(「登録」の拒否事由を参照) |
3.不正の手段で登録を受けたとき(新規、更新、変更) |
4.登録を受けてから1年以内に事業を開始しない、または引き続き1年以上事業を行っていないとき ※業務停止ではなく、取消しの対象になる |
旅行業者等が自らの理由により事業の廃止を行う場合をみてみましょう。
事業の廃止 |
・旅行業者は30日以内に登録行政庁に届出る。 |
1.事業の廃止 |
2.事業の全部譲渡 |
3.合併による消滅 |
4.死亡 ↓相続人が30日以内に登録行政庁に届出 ↓相続人が業務を引継ぐ場合、死亡日から60日以内に登録行政庁へ申請 ↓可否の通知(引継ぎが出来るかどうか)があるまでは業務の継続は可能(登録、営業保証金も引継がれる) ※死亡日とは、死亡を知ったときを指し、その日から起算する。 |
登録行政庁が行う「業務改善命令」ついて解説します。旅行業協会とは違い、登録行政庁が行う「業務改善命令」には強制力があります。
業務改善命令 |
・旅行業法の目的を害する事実があると認める場合、以下の項目について命令を発することができる。 目的を害する事実とは、「取引の公正」「旅行の安全」「旅行者の利便を害する事実」のこと。 |
1.旅行業務取扱管理者の解任 |
2.旅行業務取扱料金・企画旅行の対価(ツアー料金)の変更 |
3.旅行業約款の変更 |
4.企画旅行の円滑な実施のための措置(旅程管理業務)を確実に実施すること |
5.旅行者への損害賠償に必要な金額が担保できる保険契約を締結すること |
6.その他の運営改善に必要な措置をとること |
法令違反の公表 |
観光庁長官は、旅行業務または旅行サービス手配業務に関する「取引の公正の維持」、「旅行の安全の確保」及び「旅行者の利便の増進」のため必要かつ適当であると認めるときは、国土交通省令で定めるところにより、この法律またはこの法律に基づく命令に違反する行為を行った者の氏名または名称その他法令違反行為による被害の発生若しくは拡大を防止し、または取引の公正を確保するために必要な事項を一般に公表することができる。(旅行業法71条) |
最後に、罰則について簡単にまとめました。ほとんど出題されていませんが、確認しておきましょう。詳しくは「旅行業法」74条以下を確認してください。
罰則(旅行業者等、旅行サービス手配業)一部抜粋 | |
1年以下の懲役、または100万円以下の罰金(またはその両方)74条 | 登録に関する規定違反 |
不正手段による旅行業の登録、更新、変更 | |
名義貸し、他人に営業させる行為 | |
旅行業者代理業者が所属旅行業者以外の旅行業者と行った旅行業務 | |
30万円以下の罰金(79条) | 取引額を報告しない、虚偽の報告 |
旅行業務取扱管理者を選任しなかった | |
旅行業務取扱管理者を選任せずに旅行業務に関する契約を締結した | |
業務改善命令の規定による命令に違反した | |
旅行業務取扱料金を掲示または備置かなかった | |
旅行業約款の認可を受けなかった | |
規程に違反して書面の交付を行わなかった | |
外務員の外務員証の不携帯 | |
誇大広告 | |
標識を掲示しなかった |
両罰規定 |
法人である旅行業者等または旅行サービス手配業者が行った業務、またはそれに従事している者(従業員、代理人)が行った業務について違反行為があった場合、法人である旅行業者等または旅行サービス手配業者だけでなく、それに従事した者(従業員、代理人)も処罰されるという規定。(旅行業法82条) |