運送約款 国際航空運送約款「航空券・紛失」




この項も「JAL航空運送約款」を参考に作成しています。国内と国際運送約款の相違点の注意しながら学習を進めていきましょう。

航空券の効力については以下のとおりです。

航空券の効力
1.旅客が適用運賃または手数料を支払わない場合、または会社が承認する後払契約の要件に従わない場合、旅客に航空券を発行または再発行しない
2.航空券の発行、変更
・旅客の申し出により、航空券の発行または経路等の変更を行う毎に、同一の旅客の単一の運送契約を構成する航空券1件につき、会社規則に定める航空券取扱手数料(発券・変更)が適用となる
・これらの手数料の払戻しは行わない
3.有効な航空券の提示
・会社規則に従って正当に発行され、かつ、現に搭乗しようとする航空便用の搭乗用片、全ての未使用搭乗用片並びに旅客用片または旅客控を含む有効な航空券を提示しなければならない(乗継便や帰りの便がある場合は、そのチケットも併せて呈示しなければならない)
・旅客の提示する航空券が「運送の拒否(第10条A項第6号)」のいずれかに該当する場合には、その旅客は運送を受ける権利を有しない
4.航空券は譲渡できない
・運送を受ける権利を有する人または払戻を受ける権利を有する人以外の人が提示した航空券により会社が運送を引受けまたはこれを払い戻しても、運送または払戻しに関わる真の権利者に対し責任を負わない
・運送を受ける権利を有する人の認諾(=認めて良しとすること)のいかんにかかわらず、航空券が権利者以外の人により現に使用された場合には、不法使用に起因する不法使用者の死傷または不法使用者の手荷物その他の携帯品の紛失、滅失、毀損若しくは延着に対し責任を負わない(不要使用者の行った行為に対して責任を負わない)

 

次に、航空券の有効期間や有効期間の延長についてみていきましょう。

有効期間
1.運送の開始日から1年(ANA:開始日及びその翌日から1年)
・往路の運送開始日から1年
2.全く未使用の航空券
・航空券の発行日から1年(ANA:発行日及びその翌日から1年)
3.有効期間1年未満の運賃が適用される搭乗用片を含む航空券
・複数の搭乗用片で構成された航空券の中に1年未満の有効期間のものが含まれている場合、その搭乗用片にのみがその期間(短い有効期間)となる
4.航空券の有効期間満了日24時に失効する
・有効期間満了日の24時までに開始すれば、満了日を過ぎてもこれを継続することができる

 

有効期間の延長について解説していきます。初めに、航空会社の都合による有効期間の延長にはどのようなものがあるか、確認していきましょう。

有効期間の延長(航空会社の都合)
1.航空会社はその旅客の航空券の有効期間を運賃が支払われたクラスに空席のある最初の会社の航空便まで延長する(運賃の追加収受なし)
①座席予約のある航空便の運航を取り消した場合(有効期間の最終日に座席予約があったが運航がキャンセルになった)
②合理的な範囲を超えて、航空便をスケジュールどおりに運航することができなかった場合
③航空便を旅客の出発地、到達地または途中降機地に運航しなかった場合
④旅客の乗継をできなくした場合
⑤クラスを変更した場合
⑥予約された便の座席を提供できなかった場合(有効期間の最終日に座席予約があったがオーバーブッキングにより搭乗できなかった)
2.1年の有効期間がある航空券を所持する旅客が、航空会社が運賃の支払われたクラスの座席を提供できないことにより、航空券の有効期間内に旅行できない場合
・旅客が座席予約を請求するときに、その旅客の航空券の有効期間を運賃が支払われたクラスに空席のある最初の会社の航空便まで延長する
・延長期間は、有効期間満了日から7日以内(ANA:有効期間満了日の翌日から起算して7日以内)

 

旅行開始後に旅客が病気になってしまった場合、航空券の有効期間はどの様になるのでしょうか。

病気による有効期間の延長
旅行開始後の病気(妊娠を除く)のため航空券の有効期間内に旅行できない場合、以下のような有効期限の延長が行われる
正当な診断書に記載された旅行再開可能日まで有効期間を延長
②旅客に同行している近親者の航空券の有効期間も同様に延長することがある
※航空券の残りの有効期間により延長内容が違う。(以下を参照)
1.有効期間が1年の航空券
①運賃が支払われたクラスの座席を当該旅行開始可能日に会社が提供できない場合
・旅行再開可能日以降にその航空会社が旅行再開地から運航している同一のクラスの最初の便まで延長する(予約が取れる最初の便)
②航空券の未使用搭乗用片が途中降機を含む場合
・会社規則に従い、航空券の有効期間を旅行再開可能日から3ヶ月を超えない範囲で延長する
2.有効期間が1年未満の航空券
①運賃が支払われたクラスの座席を当該旅行開始可能日に会社が提供できない場合
・旅行再開可能日以降にその航空会社が旅行再開地から運航している同一のクラスの最初の便まで延長する(予約が取れる最初の便)
・旅行再開可能日から7日以内(ANA:旅行再開可能日の翌日から起算して7日)

 

複数の搭乗用片からなる航空券(乗り継ぎ)には使用する順序の決まりがあります。自分の利用したい区間のみを使用することはできません。

搭乗用片の使用順序
1. 航空券に記載された出発地からの旅程の順序に従ってのみ、搭乗用片の使用を認める
2.最初の国際線の運送区間の搭乗用片が使用されておらず、旅客がその旅行をいずれかの予定寄航地(途中)から開始する場合、その航空券は無効になる
例)
成田 - LA - トロントと乗り継ぐ便を利用する場合、成田ーLA間に搭乗せず、LAからトロント行きの便に搭乗しようとしても、この航空券は無効になり、搭乗することはできない。
3.途中降機については、いずれの予定寄航地においても認められる(適用法令等及び会社規則に従う)
例)
・成田 - シアトル - シカゴと乗り継ぐ場合、予定寄航地のシアトルで降機する
・往復航空券を購入して、帰りの便をを乗り捨てる

 

国内線で航空券を紛失した場合は、再度航空券を購入しなければなりませんでしたが、国際線では、旅客は手数料を支払い、航空会社は代替航空券を発行します。

航空券の紛失
旅客からの請求に基づき、手数料を収受して、紛失航空券またはその一部分に代わるものとして代替航空券発行することがある。
1.有効な航空券が正当な手続きで発行されたことを裏付ける、会社が相当と認める証拠を受領し、かつ、会社がその状況から妥当と判断すること
2.代替航空券の発行により航空会社が受ける損害につき会社に対し補償する旨を、会社が定める書式に従って同意すること(紛失した航空券がすでに第三者により払い戻されていた場合など)
3.代替航空券発行手数料は、同一の旅客の単一の運送契約を構成する航空券1件につき10,000円(または10,000円に相当する外貨額)

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