旅客が貸切バスの運送を申込み、契約が成立するまでの流れをみていきましょう。
運送の申込み
運送を申し込む者は、以下の事項を記載した運送申込書を提出します。また、運送申込書の提出に代えて、運送申込書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することもできます。(オンライン、FAXなど)
- 申込者の氏名または名称及び住所または連絡先(旅客名簿ではない)
- バス会社と運送契約を結ぶ者(契約責任者)の氏名または名称及び住所
- 旅客の団体の名称
- 乗車申込人員(人数)
- 乗車定員別または車種別の車両数
- 配車の日時および場所
- 旅行の日程(出発時刻、終着予定時刻、目的地、主たる経過地、宿泊又は待機を要する場合はその旨その他車両の運行に関連するもの)
- 運賃の支払方法
- 運賃割引の適用の有無(学生証、障がい者手帳などの提示が必要)
- 特約事項があるときはその内容

記入事項の分かりづらい項目は「1. 申込者の氏名または名称及び住所または連絡先」です。ここで、バスに乗車するすべての旅客の氏名等を記入しなければならないと考える人もいると思いますが、項目1に記入する内容は「2. バス会社と運送契約を結ぶ者(契約責任者)の氏名または名称及び住所」と同じで、旅客の氏名等を記入する必要はありません。企画旅行契約(募集型・受注型、手配旅行契約の団体・グループ契約で、契約に必要なのは「契約責任者の氏名」や「人数」でした。
契約の成立

運送申込書が提出され、定められた運賃・料金をバス会社に支払うと、バス会社は乗車券を発行し、契約が成立します。
- 旅客が運送申込書を提出(または電磁的方法による申込)
⇨バス会社は、申込者に対し、運賃及び料金の支払いを求める
⇨申込者は、運賃及び料金の20%以上を支払う
⇨バス会社は、乗車券を発行し契約責任者に交付する
⇨ 契約成立 - 運賃及び料金の支払時期について特別の定めをしたとき、その運送を引き受けることとしたとき(了承した時)に乗車券を発行し、これを契約責任者に交付する(例外)
- 運賃・料金の支払い前でも乗車券発行で契約成立
契約の変更
1. 契約責任者
- 運送契約の成立後に契約責任者が契約内容を変更しようとするとき
- あらかじめ書面によりバス会社の承諾を求めなければならない
※緊急の場合およびバス会社が認める場合は書面の提出を要しない。(口頭でも良い) - 変更しようとする事項が当初と著しく相違する場合やその他運行上の支障がある場合には、バス会社は、その変更を承諾しないことがある
- あらかじめ書面によりバス会社の承諾を求めなければならない
2. バス会社
- 車両の故障その他緊急やむを得ない事由がある場合
- 契約された運送を行えない場合は運送契約を解除し、または契約責任者の承諾を得て運送契約の内容を変更することがある
- 運送契約の内容に変更があった場合
- 契約責任者に交付した乗車券の記載事項に変更を生じたときは、乗車券の記載事項を訂正し、または乗車券の書換えを行う
運送(継続)の拒絶
以下のいずれかに該当する場合、運送の引受けまたは継続を拒絶し、または制限することがあります。
- 運送の申込みがこの運送約款によらないものであるとき
- 運送に適する設備がないとき(依頼人数にまかなう車両を用意できない)
- 運送に関し、申込者から特別な負担を求められたとき(対応できない負担)
- 運送が法令の規定または公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき
- 天災その他やむを得ない事由による運送上の支障があるとき
- 旅客が乗務員の旅客自動車運送事業運輸規則の規定に基づいて行う措置に従わないとき
- 旅客が旅客自動車運送事業運輸規則の規定により持込みを禁止された物品を携帯しているとき
- 旅客が持込みを拒絶された物品を携帯し ているとき
- 旅客が泥酔した者または不潔な服装をした者等であって、他の旅客の迷惑となる恐れのあるとき
- 旅客が監護者に伴われていない小児であるとき
- 旅客が付添人を伴わない重病者であるとき
- 旅客が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による一類感染症、二類感染症( 入院を必要とするものに限る の )患者 (これらの患者とみなされる者を含む)または新感染症の所見のある者であるとき