旅行業法「旅行サービス手配業」
旅行業法「旅行サービス手配業」
2018年1月に施行された改正旅行業法により、新たに旅行サービス手配業者(ランドオペレーター)も旅行業法の規定が適用されるようになりました。
報酬を得て、旅行業を営む者(外国の法令に準拠して外国にいて旅行業を営む者を含む)のため、旅行者に対する運送等サービスまたは運送等関連サービスの提供について、これらのサービスを提供する者との間で、代理して契約を締結し、媒介をし、または取次ぎをする行為(「取引の公正」、「旅行の安全」及び「旅行者の利便の確保」に支障を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)を行う事業をいう。(旅行業法第2条第6項)
旅行サービス手配業
以下の行為を行うときは、旅行サービス手配業の登録を受けなければならない。
※日本国内で提供されるサービスの手配に限る。
- 運送・宿泊サービスの手配
- 通訳案内士以外の者による有償の通訳案内サービスの手配
- 免税手続を行う土産物店(輸出物品販売所)の手配
旅行サービス手配業の登録
- 申請書を主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出する。
- 氏名(個人)または名称(法人)、住所、代表者の氏名(法人)
- 営業所の名称、所在地
※サービス手配業務を取扱う事務所(場所)は、すべて営業所(案内所、連絡所などの名称の如何を問わず)としての登録が必要。
- 「更新登録」「変更登録」はない。
- 旅行業のような更新手続きがない。
- 変更はすべて「事後に届出」が必要。(変更の日から30日以内)
- 旅行業者は、旅行サービス手配業の登録を受けなくても旅行サービス手配業の業務をすることができる。
- 旅行業者代理業者の旅行サービス手配業の登録
- 所属旅行業者のために旅行サービス手配業務を行う場合:登録は不要。
- 所属旅行業者以外のために旅行サービス手配業務を行う場合:登録が必要。
※旅行業者代理業者は所属旅行業者の業務のみを代理して行うことができるが、旅行サービス手配業務に関しては、登録を受けることにより、所属旅行業者以外の旅行業者の代理業務を行うことができる。
- 財産的基礎が定められていない。(必要ない、旅行業者代理業者と同じ)
- 営業保証金、旅行業約款、標識、外務員、広告などの規定がない。
- 旅行サービス手配業は、旅行者との直接の取引がないため、これらの規定が適用されない。
登録の拒否
- 旅行業等の登録を取り消され、また旅行サービス手配業の登録を取り消された日から5年を経過していない者。
- 禁固以上の刑または旅行業法に違反して罰金刑を受け、刑の執行を終えまたは受けることがなくなって5年を経過しない者。
- 暴力団員等(暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者)
- 申請前5年以内に旅行業務、または旅行サービス手配業務に関して不正な行為をした者。
- 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者(未婚)その法定代理人が1から4または7に該当する者。
- 心身の故障により旅行サービス手配業を適正に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの、または破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者。
- 法人であって、その役員のうちに1から4または6に該当する者がある者。
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者。
- 営業所ごとに旅行サービス手配業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者。
変更の届出
登録事項の変更があった場合、変更があった日から30日以内に、登録行政庁に届出なくてはなりません。
- 申請者の氏名、商号もしくは名称、住所、代表者
- 営業所の名称、所在地(主たる営業所、その他の営業所)
- 所在地の変更届は、変更後の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出る。
- 「更新登録」「変更登録」はない。
- 旅行業のような更新手続きが無く、変更はすべて事後に届出が必要。
旅行サービス手配業務取扱管理者の選任
旅行業者等が旅行業務取扱管理者を選任するように、旅行サービス手配業者も「旅行サービス手配業務取扱管理者」を選任しなければなりません。
- 営業所ごとに1人以上の旅行サービス手配業務取扱管理者を選任しなければならない。
- 従業員が1人の営業所は、その者が旅行サービス手配業務取扱管理者でなければならない。
- 他の営業所を兼任することはできない。
- 必ず旅行サービス手配業務取扱管理者を選任しなければならない。
※地域限定旅行業者やそれを所属旅行業者とする旅行業者代理業者が選任する旅行業務取扱管理者のように、一定の条件のもとに1人が兼任する例外規定はない。
- 必ず旅行サービス手配業務取扱管理者を選任しなければならない。
- 選任したすべての旅行サービス手配業務取扱管理者が欠けた場合、新たに選任するまでの間は、その営業所の旅行サービス手配業務に関する契約を締結してはならない。
旅行サービス手配業務取扱管理者選任の資格・要件
旅行業務取扱管理者と同様に、旅行サービス手配業務取扱管理者にも選任の資格要件があります。
- 旅行サービス手配業の登録を取消され、取消の日から5年を経過していない者。
- 禁固以上の刑または旅行業法違反による罰金刑に処せられ、執行が終わった日から5年を経過していない者。
- 暴力団員等(暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者)
- 申請前5年以内に旅行業務または旅行サービス手配業務に関し不正を行った者。
- 申請者が未成年者で、その法定代理人が上記の1~4に該当する者、またその法定代理人が法人の場合であり、その役員が上記の1~4または6に該当する者。
- 心身の故障により旅行サービス手配業を適正に遂行することができない者として国土交通省令で定めるもの、または破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者。
- 観光庁長官の登録を受けた登録研修機関が実施する旅行サービス手配業務取扱管理者としての研修を修了した者。
- 研修を終了した者は、国内外の業務が可能。
- (総合・国内)旅行業務取扱管理者試験の合格者。
- 総合:国内・海外
- 国内:国内のみ
旅行サービス手配業務取扱管理者の職務
旅行サービス手配業務取扱管理者の職務は以下のように規定されています。
- 書面の交付に関する事項。
- 旅行サービス手配業務に関する苦情の処理に関する事項。
- 契約締結の年月日、契約の相手方、その他の旅行サービス手配業務に関し取引をする者と締結した契約の内容に係る重要な事項についての明確な記録また関係書類の保管に関する事項。
- 「取引の公正」「旅行の安全」および「旅行者の利便」を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項。
契約書面の交付
上記の職務 1.「書面の交付」について、その記載事項と併せて詳しくみていきましょう。旅行業者等が契約を締結したときに「契約書面」を交付しますが、旅行サービス手配業者も同様に、契約後、契約書面の交付が必要になります。
- 旅行サービス手配業者は、旅行サービス手配業務に関し契約を締結したときは、遅滞なく、取引をする者に対し、国土交通省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。
- 書面の交付に代えて、事前に取引をする者の承諾を得て、EメールやCD‐ROMなどの電子情報処理媒体を利用して交付することができる。
契約書面の記載事項
- 旅行サービス手配業務に関し取引をする者の氏名、商号もしくは名称、住所
- 契約を締結する旅行サービス手配業者の氏名、商号もしくは名称、住所、登録番号
- 旅行者に提供する旅行サービスの内容
- 旅行サービス手配業務に関し取引をする者に支払う対価、取扱い料金
- 契約に係る旅行サービス手配業務を取り扱う営業所の名称、所在地
- 契約に係る旅行サービス手配業務取扱管理者の氏名
- 契約締結日
旅行サービス手配業務取扱管理者の研修
旅行業者等は旅行業協会が実施する研修を5年ごとに受けさせなければなりませんが、旅行サービス手配業者も同様に旅行サービス手配業務取扱管理者に研修を受けさせなければなりません。
- 旅行サービス手配業者は、旅行サービス手配業務取扱管理者について、5年ごとに、観光庁長官の登録を受けた登録研修機関が実施する研修を受けさせなければならない。
- 登録研修機関:日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)
- 旅行サービス手配業者は、苦情の処理やその他の旅行サービス手配業務取扱管理者の職務に必要な知識や能力の向上を図るための措置を講ずるよう努めなければならない。
旅行サービス手配業務等の委託・代理
旅行を取扱う業者によっては、その地域により詳しい業者にサービスの手配を委任したり、また代理して手配を請け負う場合があります。サービス手配の委託・代理を請負う場合、旅行サービス手配業の登録を受けていなければなりません。
委託
- 旅行サービス手配業者や旅行業者が業務を他人に委託する場合、旅行サービス手配業者または旅行業者に委託しなければならない。
- 旅行サービス手配業の登録を受けた者にしか業務を委託することができない。
- 旅行業者は、旅行サービス手配業の登録なしに旅行サービス手配業を行うことができる。
代理
- 旅行サービス手配業の登録を受けた者または旅行業者は、他の旅行業者や旅行サービス手配業の依頼に基づき行為の代理ができる。
- 旅行業者代理業者が所属旅行業者を代理して旅行サービス手配業務を行う場合、旅行サービス手配業の登録は不要。
- 旅行業者代理業者も旅行サービス手配業の登録を受ければ、独立して所属旅行業者以外の旅行業者の業務を行うことができる。
禁止行為
禁止行為については、特に難しいことはありません。一般的な感覚で問題に答えることができると思います。
- 取引の重要事項について故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為。
- 旅行業務について取引をした者に対し、債務の履行を不当に遅延する行為。
- 旅行サービス手配業の信用を失墜させる行為。
- 旅行地の法令に反する行為を行うことを斡旋または便宜を供与する行為。
- 運送の安全の確保を不当に阻害する行為。
- 特定のサービスの提供または物品の購入を強要する行為。
- 名義貸しの禁止(旅行業者等の規定と同じ)