国内旅行実務 貸切バス運賃・料金


「貸切バス運賃・料金」の学習ポイントとしては、近年の観光バス事故多発に伴い、バス会社の労働条件をより良く安全に従事できるように法律が改定された点です。労働時間、運賃計算、安全面など、ポイントをしっかり理解しながら学習していきましょう。

貸切バス運賃


実際の貸切バス会社では「運賃」と「料金」を一緒にして「貸切バス料金」と呼んでいるのが一般的ですが、運賃とは以下のような説明になります。
  1. 時間制運賃キロ制運賃の額を合算した額が運賃になる
  2. 運賃・料金は、各地方運輸局事前に届け出る

1. 時間制運賃

  1. 営業所の所在する出発地の運賃を基礎として計算する
  2. 以下の①②③の合計時間に運賃額を乗じた額が時間制運賃になる
    ① 出庫前及び帰庫後の点呼点検時間として前後1時間合計2時間
    ② 走行時間が3時間未満の場合は3時間を保障(3時間+2時間(点呼・点検時間)の合計5時間が最低保証時間
    ③ 走行時間(出庫から帰路までの拘束時間、回送料金も含む)
  3. 2日以上に渡る運送で宿泊を伴う場合、宿泊地到着後の1時間、宿泊地出発前の1時間を点呼・点検時間とする
  4. フェリーなどによる航送の場合、乗船から下船までの時間上限8時間)を加算する
  5. 走行時間の端数は、30分未満切り捨て30分以上は1時間に切り上げる

2. キロ制運賃

  1. 出庫から帰庫までの距離(回送も含む)に、運賃額を乗じた額が運賃になる
  2. 走行距離の端数は、10㎞未満は10㎞に切り上げる

3. 割引運賃

  1. 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法の適用を受ける団体:3割引
  2. 高校生以下の学生、幼稚園児の団体:2割引
    ※上記の両方が条件に該当する場合、どちらか割引率が高い方を適用する。(重複しない
  3. バス会社が国土交通省に申請した運賃の下限額を下回る割引は行えないため、バス会社が下限額で計算した場合、学生・障害者割引運賃は適用されない
    ※問題文に「下限額をもとに計算した・・・」とある場合は、上記の学生・障害者割引運賃は適用されないので注意。

貸切バス料金

 


「料金」とは「運賃」に付随する金額で、深夜料金やガイド代など、付加価値として加算される金額です。

1. 深夜早割運行料金

  1. 22時以降翌朝5時までの間に点呼点検時間、走行時間(回送時間を含む)が含まれた場合
  2. 時間制運賃交替運転者配置料金2割増になる(1時間あたりの料金)

2. 特殊車両割増料金

  1. 標準的な装備を超える特殊な設備を有する車両
  2. 車両購入価格を座席定員で割った単価が、標準的な車両購入価格を標準的な座席定員で割った単価より70%以上高額である車両(座席単価が通常より70%以上高額な車両)

3. 交替運転者配置料金

  1. 法令により交替運転者の配置が義務付けられる場合
  2. 交替運転者の配置について運送申込者と合意した場合
    ※交替運転者が交替地点まで車両に同乗しない場合も、同乗したものとして料金を適用する。

4. その他

  • ガイド料、有料道路料、航送料、駐車料、乗務員宿泊料、その他特別な負担がある場合には、その実費は旅客の負担になる

違約料


何らかの事情により「契約責任者(団体)」や「バス会社」から契約が解除・取消される場合があります。その場合、当事者は責任(違約料)を負うことになります。

1. 契約責任者(団体)からの解除・変更

配車日の14日前から8日前まで運賃・料金の20%相当額
配車日の7日前から配車日時の24時間前まで運賃・料金の30%相当額
24時間前から配車時日時(時刻)まで運賃・料金の50%相当額

2. バス会社の都合による解除・変更

  • 契約責任者からの解除と同様の規定が適用される
    ※天災地変などのやむを得ない場合を除く。

バス台数変更

  • 契約責任者(団体)が自己都合によりバスの台数を変更した場合、変更がバス台数の20%以上の減少を伴う場合、上の表の割合で違約料が発生する

ex.
1台10万円で10台を予約、10日前に3台キャンセルで合計7台に変更した場合

違約金が発生する要件は20%以上の数の車両の減少であるので、この場合、3/10台で30%の台数が減少したことになり違約金が発生する。

    • 10日前なので1台につき20%の違約金が発生
    • 10万円(1台)×20%×3台
    • 6万円 契約責任者は、6万円の違約金を支払わなければならない
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