航空会社が行う運送には、条約に定められた規定や制限が適用されるので、各航空会社はこれらの規定や制限に抵触しない範囲内で定められた適用法令や約款、または会社規則の定めに従った運送を行います。

航空会社の責任範囲

運送またはそれに付随した他の業務に起因する旅客の死亡もしくは身体の障害、旅客や手荷物の「損害」(延着・滅失・毀損など)に関する会社の責任。
  1. 会社の過失に因らない持込手荷物に対する損害については一切責任を負わない
    • 持込手荷物の搭載、取卸はまた積替にあたって、会社の役員・従業員または代理人が旅客に与えた援助は、単なるサービスにすぎない(持込手荷物の搭載・取卸なの作業は客室乗務員の義務ではない)
  2. 会社が適用法令等に従ったこと、または旅客がこれらに従わなかったことにより、また航空会社の管理できない事由により直接または間接に生じた損害については、一切責任を負わない
    • 適用法令に従い行ったが、会社の管理できない事由(不可抗力など)により損害が発生してしまった場合は、会社は一切の責任を負わない

手荷物の責任限度額

  1. モントリオール条約が適用となる運送の場合
    • 手荷物責任限度は、旅客1人当たり1,288SDRを限度とする
  2. 上記以外
    • 受託手荷物:1㎏あたり17SDR(250フランス金フラン)
    • 持込手荷物:旅客1人あたり332SDR(5,000フランス金フラン)
    • 旅客が事前により高い価額を申告し従価料金を支払った場合は適用されない
      ※会社の責任は、旅客が受けた実損額を超えることはなく、損害賠償請求にあたっては、旅客が損害額を証明しなければならない。
  3. モントリオール条約適用外の場合で旅客に対する受託手荷物の一部の引渡の場合または受託手荷物の一部の損害の場合
    • 未引渡部分または損害部分に関する会社の責任は、その受託手荷物の部分または内容品の価額に関係なく、重量を基礎とした按分額とする。
      ※按分額(あんぶんがく):数量に比例して割り振ること。
  4. 手荷物の内容品に起因した旅客の手荷物に対する損害については責任を負わない
  5. 旅客が自己の物品により他の旅客の手荷物または会社の財産に損害を与えた場合
    • 旅客は、それによって航空会社が受けた一切の損失および費用を航空会社に賠償しなければならない
      ex. 手荷物の中の液体が頭部収納スペース( Overhead compartment)内に漏れ、収納スペースと他の旅客の手荷物をよごしてしまった。
  6. 旅客の受託手荷物に含まれている物品に対する損害について、その物品の固有の欠陥、または性質から生じたものである場合
    • それが含まれていることを会社が了知していたかどうかを問わず責任を負わない
  7. 約款の規定上手荷物とはならない物品
    •  引受を拒否することがある
    • 物品を航空会社が受領したときは、その物品は手荷物価額および責任限度の適用を受け、航空会社の公示料率および料金の適用を受ける
  8. 他の運送人によって運送が行われる区間のために航空会社が航空券を発行し、または手荷物を受託する場合
    •  その運送人の代理人としてのみこれらの行為を行う
    • 航空会社によって運送が行われる区間以外で生じた損害について責任を負わない
    • 航空会社によって運送が行われる区間以外で生じた受託手荷物に対する損害について責任を負わない
      ※運送契約上の最初の運送人または最後の運送人である場合に、その損害につき条約の定めにより、旅客が会社に対し請求することができるときはこの限りでない。
  9. 約款および会社規則に従う運送から生じた間接損害もしくは特別損害または懲罰的損害賠償
    • 会社がその損害の発生を予知していたかどうかを問わず、一切責任を負わない
      ※航空会社が約款および会社規則に従った運送をしていた場合、損害が起こるであろうことを会社が予知していたとしても、責任を負うことはない
  10. 約款および会社規則に定める会社の責任の免除または制限に関する一切の規定
    •  自己の職務を遂行中の航空会社の役員・従業員または代理人、運送のために会社が使用する航空機の保有者および自己の職務を遂行中のその役員・従業員または代理人に対しても適用される
    • 会社の役員・従業員または代理人に対して請求できる賠償総額は、会社の約款上の限度額を越えない

従価料金


手荷物の価格が責任限度額を超える場合、旅客は従価料金を払って手荷物の価格を申告することにより、補償限度額を申告額まで引き上げることができます。

 

  1. 超過した価格100米国ドルにつき、2米国ドルを申し受ける(カナダ国内ではカナダドルを使用する)
  2. 旅客1人の手荷物の申告価額は、5,000米国ドル(5,000カナダドル)を限度とする

損害賠償の請求期限

1. 出訴(しゅっそ)期限

損害賠償請求に関する訴えは、以下の日から起算して2年以内に提起しなければならず、その期間の経過後は提起することができません。

  1. 到達地への到達の日
  2. 航空機が到達すべきであった日
  3. 運送の中止の日

2. 手荷物に関する請求

受託手荷物毀損の場合の請求権者

  • 当該手荷物の引渡しを受ける者(搭乗者)に限られる
  • 異議はすべて書面で、定められた期間内に行う
  •  
毀損発見後直ちに、遅くともその受取の日から7日以内
延着手荷物を受取の日から21日以内
紛失・滅失手荷物を受け取ることができたであろう日から21日以内

モントリオール条約

国際航空運送における航空運送人の責任や損害賠償の範囲等について定めたもの。令和元年11月末日現在136カ国が批准している(国土交通省ホームページ

ワルソー条約

正式名称は「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」といい、国際的な航空貨物、旅客の運送に関する、航空運送人の責任や航空運送状の記載事項等を定める条約である。(国土交通省ホームページ

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