運送約款 国際航空運送約款「手荷物」




国内・国際線を問わず、旅客は飛行機へ搭乗する前に、保安検査を受けなければなりません。

保安検査
1.旅客は、官公署、空港係員または会社による保安検査を受けなければならない
・検査に応じない場合、手荷物の搭載、旅客の搭乗を拒否する
・禁止制限品目に該当する物品が発見された場合、物品の持込み若しくは搭載を拒絶、または処分をすることがある
2.航空機の不法な奪取(ハイジャック)、管理または破壊の行為の防止(テロ)など航空保安上の事由により、旅客または第三者の立会いのもと、開被点検その他の方法により手荷物の検査を行う
・旅客または第三者の立会いがない場合でも、手荷物の禁止制限品目に該当する物品を旅客が所持しまたは旅客の手荷物に入っていないかを検査することができる(TSAロック:米国運輸保安局より認可を受けた鍵)
3.航空保安上、その他の事由により旅客の着衣または着具の上からの接触、金属探知器等の使用により旅客の装着等する物品の検査を行う

 

手荷物に関する規定は、他の運送機関(鉄道やバスなど)と比べ、特に航空運送に関しては厳格な規則が設けられています。手荷物には「受託手荷物」と「持込手荷物」の2種類あります。それでは、順に解説していきます。

初めに、チェックインカウンターで預ける手荷物「受託手荷物」について。

受託手荷物
1.受託手荷物とは、運送人が保管する手荷物で、運送人が手荷物切符及び手荷物合符を発行したものをいう
(運送人=航空機を運送する航空会社)
2.受託手荷物の引渡を受けた場合、その受託手荷物の個数及び重量を航空券に記入し、受託手荷物の1個ごとに手荷物合符を発行する
3.受託手荷物に氏名、頭文字またはその他個人名を判別できるものが付いていない場合、運送を委託する前(チェックイン時まで)に付けなければならない
4.旅行会社は、可能な限りその手荷物を委託した旅客が搭乗する航空機で旅客と同時に運送する
※会社が困難と判断した場合には、許容搭載量に余裕のある他の航空便で運送するか、または他の輸送機関で輸送することがある。
5.大きさ・長さ
・「三辺の和」(長さ、高さ、幅)が203cm(80インチ)以内
・1個あたりの重量が32㎏(70ポンド)以内
・1人あたりの総重量100㎏(220ポンド)以内(ANAのみ
・手荷物を搭載する航空機の貨物室に収納できること
※超過分については、事前の取り決めのない限り受託手荷物としての運送を引受けない。
※会社が運送を引受ける場合、会社規則に定める料金がかかる。

 

次に、保安検査を通り、機内へ持ち込むことができる「持込手荷物」です。

持込手荷物
1.旅客が携帯し保管する身の回りの物品1個
・旅客が携帯し保管する場合に限り、手荷物として無料で運送する
2.会社規則に定める物品1個
・客室内の収納棚または旅客の前の座席の下に収納可能で、三辺の和が115cm(45インチ)以内(ANA:座席数が100席未満の場合は100cm(39インチ)以内)
・重量10㎏(22ポンド)以内(身の回り品を含む)
※客室内に安全に収納できないと判断された手荷物を客室内に持ち込むことはできない。
3.貨物室での運送が適当でない物(壊れやすい楽器等)は、十分な連絡が事前になされ会社が承認している場合に限り、客室内での運送を引受ける
※会社規則に定める料金がかかる。

 

国内線と同様に国際線においても、各航空会社は無料手荷物許容量を設定しています。

無料手荷物許容量(受託手荷物)
クラス 重量 三辺の和 個数
ファースト(JAL、ANA) 32㎏ 203cm
(ANA:158㎝)
3個
ビジネス(JAL)
中間クラス(ANA)
32㎏ 203cm
(ANA:158㎝)
3個
(ANA:2個)
プレミアム(JAL)
エコノミー(JAL、ANA)
23㎏ 203cm
(ANA:158㎝)
2個
1.大人運賃と小児運賃
同じ無料手荷物許容量が適用される
2.幼児運賃
・同伴する旅客と同重量・同サイズを超えない受託手荷物1個が無料
※同伴する旅客のクラスの許容量が適用される。
・旅客が使用する折りたたみ式乳母車、幼児の携帯用揺りかご、幼児用椅子は無料手荷物許容量内に含まれず無料になる(無料手荷物許容量以外で更に無料)
3.身体に障がいのある旅客を補助するために、旅客が自身で使用する車椅子、松葉杖など

 

航空運送では、受託手荷物や持込手荷物において輸送が許されていないものがあります。

受付けの制限・拒否
1.第1条で定義された手荷物に該当しない物品
「第1条「手荷物」 とは、旅行にあたり旅客の着用、使用、娯楽または便宜のために必要または適当な旅客の物品、身廻品その他の携帯品をいい、受託手荷物及び持込手荷物の両方を含む。」
2.国際民間航空機関(ICAO)及び国際航空運送協会(IATA)の危険品取扱規則並びに会社規則で定められた物品等、航空機、人命または財産に危険を及ぼすおそれのあるもの
3.出発国、到達国または通過国の適用法令等によりその運送が禁止されている物品。
4.重量、寸法、形状または壊れ易い若しくは変質・腐敗するおそれがある等、その物品の性質を理由として会社が運送に適さないと判断した物品
5.生きている動物 (例外あり「動物」の項で詳しく説明します。)
6.銃砲刀剣類等 (規則に別段の定めのある場合を除く)航空会社は、手荷物として運送することを禁じられた物品の運送を拒否し、かつ適宜必要な措置を取ることができる
発見次第そのような物品のその後の運送を拒否することができる
・手荷物として運送することが禁止されているか否かを問わず、上記で規定された物品が運送される場合には、この約款中の手荷物運送に適用される料金、責任限度及びその他の規定が適用される
7.受託手荷物として拒否される物
・壊れ易い若しくは変質・腐敗するおそれのある物品、貨幣、宝石類、貴金属、有価証券、証券その他の高価品、書類、旅券等旅行に必要な身分を証する文書または見本
・通常の取扱いによる運送に耐えられるようにスーツケースその他の容器で適切に梱包されていない場合

 

最後に、ペットについての規定です。

動物
1.愛玩動物(犬、猫、小鳥など)
・旅客がその動物を適切な容器に入れ、到達国または通過国で必要とされる有効な健康証明書、予防接種証明書、入国許可書その他の書類を取得し、かつ、会社の事前の承認がある場合に、会社規則に従ってその運送を引受ける。
・会社が動物の運送を引受けた場合、その動物は超過手荷物となる。その容器及び餌とともに旅客の無料手荷物許容量の適用を受けず、旅客は会社規則に定める料金を支払わなければならない。
旅客が会社規則に従いその動物についてすべての責任を負うという条件のもとで動物の運送を引受ける。
・会社は、その動物の固有の性質に起因して生じる傷害、病気または死亡について一切の責任を負わない
2.身体障がい者補助犬等
・身体に障害のある旅客を補助するために、当該旅客が同伴する補助を目的とする犬を、会社規則に従い、その容器及び餌とともに通常の無料手荷物許容量に追加して無料で運送する
※補助犬と容器・餌は無料手荷物許容量には含まれず、別の手荷物として無料で運送を引き受ける。
・身体障がい者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)は無料で機内へ同伴できる
※米国路線では盲導犬・聴導犬・介助犬以外の補助犬(エモーショナルサポート犬・アラート犬)についても、条件を満たす場合に限り客室内に同伴できる。

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