運送約款 JR旅客営業規則「乗車券・回数券」




航空約款など他の運送約款と同様に、JR乗車券にも発売日や有効期間、また乗車日の変更やキャンセルによる払戻しなど、いろいろな決まりがあります。

それでは、順にみていきましょう。乗車券の発売日は以下の通りです。

乗車券の発売日
普通乗車券 搭乗日に購入(原則)
※指定券を伴う場合は、指定券の発売日に乗車券も購入できる。
指定券 始発駅出発日の1カ月前から発売(午前10時)
例)
①8月31日に乗車予定 ⇒ 7月31日から発売
②7月31日に乗車予定 ⇒ 7月1日から発売
※同一日がない場合は次の日になる。

 

次に、乗車券の有効期間です。普通乗車券の有効期間は以下のとおりです。有効期間の算出は、幹線・地方交通線にかかわらず、営業キロで計算されます。

乗車券の有効期間
営業キロ 有効日数
100㎞まで(片道) 1日(当日)
101㎞~200㎞(片道) 2日
201㎞~400㎞(片道) 3日
401㎞~600㎞(片道) 4日
601㎞~(片道) 以降、200㎞ごとに1日ずつ増える

 

普通乗車券の有効期間は営業キロにより有効日数が決められていますが、路線や券の種類(指定券・グリーン券・回数券・定期券など)によりそれぞれ決められた有効期間が設定されています。

その他の有効期間
1.往復乗車券:片道乗車券の2倍
2.連続乗車券:それぞれの区間の有効期間の合計
3.指定券:表示された日時の列車に限り有効
4.自由席特急券、急行列車の自由席グリーン券:発売日当日に限り有効
5.普通・快速列車の自由席グリーン券:発売日当日に限り有効
6.大都市近郊区間相互発着の乗車券:営業キロ数にかかわらず発売日当日に限り有効
※大都市近郊区間:東京近郊、大阪近郊、福岡近郊、新潟近郊、仙台近郊
7.普通回数乗車券の有効期間:3ヶ月
※通学用割引普通回数乗車券の有効期間:1ヶ月
8.定期乗車券の有効期間:1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月

 

乗車券を紛失してしまったときの取扱いは以下のとおりです。

乗車券等の紛失
1.再度購入しなければならない
・再購入した券面には「紛失再」と表示される
2.旅行終了駅で、再購入した乗車券等に「再収受証明印」を押してもらい保管する
3.紛失した乗車券等が見つかった場合、再購入した券と併せて提出すると払戻しが受けられる
4.払戻期間は1年間
5.払戻し手数料
・乗車券、自由席特急券:220円
・指定席特急券:340円

 

途中下車について解説します。基本的には進行方向を後戻りしなければ目的地まで何回でも途中下車することができます。

途中下車
乗車券は後戻りしない限り何回でも途中下車することができる
・「途中下車」とは、旅行途中(乗車券の区間内)の駅でいったん改札口の外に出ることをいう
例)
A駅 ⇒ B駅 ⇒ C駅 ⇒ D駅
・A駅からD駅へと向かう途中、進行方向であればB駅、C駅と途中下車することができる。C駅からB駅へは後戻りできない。
例外)
以下の乗車券は途中下車することができない。
1.片道の営業キロが100キロメートルまでの普通乗車券
2.大都市近郊区間内のみ(東京・仙台・新潟・大阪・福岡)利用の場合の普通乗車券
3.山手線内発着または特定の都区市内発着となる乗車券
4.回数券
5.特急券、急行券、グリーン券、寝台券、指定席券、乗車整理券、ライナー券

 

乗車後に目的地を変更する場合、運賃・料金はどうなるのでしょうか。

乗車券の区間変更(使用開始後)
1.使用開始後、1券片100キロ未満の乗車券を変更する場合、不足分の運賃は収受するが過剰となった場合の払戻しはしない
※未使用区間が1券片101キロ以上ある場合は払戻す。
2.乗車券で乗り越しをする場合は、乗り越し区間の運賃を収受する
3.目的地の方向や目的地までの経路を変更する場合は、変更する区間と乗らない区間の運賃を比較して差額を収受する

 

天候や事故などにより列車が運休したり運行ダイヤが大幅に遅延することがあります。JR旅客営業規則では、運行不能や遅延が発生した場合、以下のような対応を行います。

運行不能・遅延の払戻し
1.旅行開始前の運行不能
・手数料なしで全額を払戻す
2.旅行開始後の運行中止
・不乗区間(未使用区間)の運賃と全区間の料金(特急券、急行券など)を手数料なしで払戻す
※寝台料金は、使用開始後朝6時までの間に一部区間または全区間を利用出来なかった場合に限り、全額払戻す。
3.旅行を中止して出発駅へ戻る場合
・手数料なしで運賃・料金の全額払戻す
※途中下車はできない。
4.事故等による遅延
・特急・急行列車が到着時刻より2時間以上遅れた場合は、特急・急行料金の全額を払戻す

 

最後に、回数券の種類についてまとめました。

回数券の種類
普通回数乗車券 3ヶ月 1.200キロ以内の区間
2.途中下車、乗車区間の変更はできない
3.大人の回数券1枚で小児2人まで利用できる
新幹線回数券 3ヶ月 1.利用できない期間がある
2.途中下車、乗車変更はできない
・途中駅下車した場合は、それ以降の乗車区間は無効となり、再度乗車はできない
※指定列車出発時刻前は可能。
3.設定区間のどちらの方向からでも利用できる
・使用開始時をもって乗車方向が確定する(逆戻りできない)
4.区間外に乗り越しの場合は、その乗車区間に必要な運賃・料金を別途支払う
5.大人用の回数券で小児2名の利用はできない
6.全券片未使用(表紙券を含む)で有効期間内に限り、発売箇所で払戻し可能(任意の払い戻し、運行不能・遅延の場合など)
7.普通車自由席に乗車した場合、指定席特急料金と自由席特急料金との差額の払戻しはない(指定列車の出発時刻以前に他の列車に乗車した場合、指定席の予約をされずにご乗車になった場合など)
8.指定された乗車日の当日に限り、後続列車の普通車自由席に乗車できる
通学用割引普通回数乗車券 6ヶ月

確認テスト 目次

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