旅行業約款 手配旅行契約「総則」




これまで、「募集型企画旅行契約」「受注型企画旅行契約」について学んできました。最後に旅行契約の3つ目「手配旅行契約」について解説します。まずは各旅行契約の違いをあらためて確認してみましょう。

 

募集型企画旅行(パッケージツアー)
旅行業者が旅行者の募集のために、あらかじめ目的地・日程・運送宿泊サービス・対価(旅行代金)などの旅行に関する計画を作成し実施する旅行のこと。
受注型企画旅行(社員旅行、修学旅行)
旅行者からの依頼により目的地・日程・運送宿泊サービス・対価(旅行代金)などの旅行計画を作成し実施する旅行のこと。
手配旅行(出張など)
旅行者の依頼を受け、旅行会社が旅行手配を行うことで、航空券やホテルなどの旅のパーツだけを旅行会社から購入する旅行のこと。

 

企画旅行契約(募集型・受注型)と手配旅行契約の大きな違いは、「旅程管理義務」がないことです。旅程管理義務がないことにより、旅行業者が負う義務は「手配業務」のみとなり、旅行中の補償や賠償責任が生じません

項目 募集型 受注型 手配
1.特約
2.手配義務
3.旅程管理義務
4.損害賠償
5.旅程保証(変更補償金)
6.特別補償

 

企画旅行(募集型・受注型)および手配旅行の流れは以下のようになります。

募集型 受注型 手配
公告で募集 旅行者の依頼 旅行者の依頼
企画書面の交付
契約(通常・通信)
旅程管理義務
旅行終了(債務の終了) 手配完了(債務の終了)
旅行終了後の処理
・特別補償、旅程補償、損害賠償
旅行終了後の処理
・損害賠償

 

「手配旅行契約」の旅行代金は以下の通りです。

旅行代金
1.旅行者は、旅行代金を旅行開始日前の旅行業者が契約書面に記載した期日までに支払わなければならない
2.手配旅行契約の旅行代金は、運送・宿泊機関等に対して支払う費用(実費)に旅行業務取扱料金を合わせた金額をいう
運送・宿泊代の実費 + 旅行業務取扱料金 = 旅行代金
※変更料金、取消料金は含まれていない。(変更・取消の際、別途支払わなければならない)
旅行業務取扱料金については、旅行業法「旅行業務取扱料金」を参照
3.旅行開始前に、運送・宿泊機関の運賃・料金の改訂、為替相場の変動などで旅行代金が変動した場合は、旅行業者はその旅行代金を変更することができる
・変更になった増額分は旅行者に帰属する(増額分は負担し、減額分は払戻される)
宿泊機関の料金も含まれる
・企画旅行契約のような代金増額の期限がない
・「通常想定される程度を大幅に超えて増額又は減額される場合」という条件がない
※企画旅行契約(募集型・受注型)よりもスムーズに変更することができる。

 

手配旅行契約は「善良な管理者の注意をもって旅行サービスの手配をしたとき」に手配業務が完了するため、手配旅行の旅行代金はここまでの業務に対しての報酬になります。したがって、契約後に起こった事由(満員、中止など)により旅行者が契約内容を締結できなかった場合も、旅行者は旅行業務取扱料金は支払わなくてはなりません。

 

「旅行業務取扱料金」は、手配旅行契約にのみにしかない事項です。」旅行業法「取引条件の説明・書面の交付」も復習しましょう。

通信契約、電子承諾通知、カード利用日など、上記以外の項目は、企画旅行契約の項を参照してください。

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