旅行業約款 募集型企画旅行契約「契約の変更」




旅行業約款では、旅行者、旅行業者双方に不利益を与えないように、ある一定の条件の下に「契約の変更」を認めています。

初めに、旅行業者側からの契約内容の変更についてみていきましょう。

契約内容の変更(旅行業者)
以下の条件のもと、旅行業者は契約内容の変更をすることができる。変更には以下の3条件がそろわなければならない。(一連の動作)
1.旅行業者が関与できない事由
・天災地変、戦闘、暴動、ストライキ、官公署の命令など
・宿泊・運送の旅行サービス提供が中止になったとき(スト、火災による営業中止など)
2.旅行を安全・円滑に実施するため(危険を回避するため)にやむを得ないこと
3.あらかじめ説明すること
・旅行業者が関与し得ない事由、その事由との因果関係を説明する
・緊急でやむを得ない場合、変更後の説明も可能
※説明すればよく、旅行者の同意を得る必要はない。ただ、そのためには旅行者が納得のいく説明をしなければならないことは言うまでありません。
例)「明日観光を予定していた××市で大規模な暴動が発生したことにより、市内の交通機関が完全にストップする見込み。また、市政府により市街地は危険のため外国人立ち入り禁止の通達があったため、急遽××市の観光を取りやめ、〇〇市経由で※※国に入ります。」(前日に旅行業者から旅行者へ説明)

上の状況を例にとってみると、以下のようになる。
1.旅行業者が関与できない事由:大規模な暴動、交通機関がストップ、外国人立ち入り禁止
2.旅行を安全・円滑に実施するためにやむを得ないこと:急遽××市の観光を取りやめ、〇〇市経由で●●国に入る。
3.あらかじめ説明:前日に旅行業者から旅行者へ説明(同意は必要なし)

 

次に、旅行者からの契約内容の変更です。

契約内容の変更(旅行者)
1.旅行者の交替
旅行業者の承諾を得て、契約上の地位を第三者に譲渡すことができる
・所定の用紙と手数料を旅行業者に提出する
⇨一切の権利・義務を継承する(旅行代金が未払いの場合は支払い義務が発生する)
2.利用人数の変更

 

契約内容の変更に伴い、当然に旅行代金にも変更が生じます。それでは、どのような条件の時に「旅行代金の変更」が行われるのか、詳しくみていきましょう。

旅行代金の変更
1.運送機関の運賃・料金が、著しい経済情勢の変化等により、募集型企画旅行の募集の際に明示したものに比べて、通常想定される程度を大幅に超えて増額または減額される場合、その増額または減額される金額の範囲内で旅行代金を増額または減額することができる。
※増額または減額することが出来るのであり、しなければならない訳ではない。
増額 減額
増加の範囲内で増額できる 実際に減額した額を減額しなければならない
旅行開始日の前日から起算して15日目に当たる日よりも前(16日前が通知期限)に、旅行者に通知 いつでも減額できる(通知期限なし)
っっq
2.天災地変、宿泊・運送の旅行サービス提供中止などにより契約内容の変更が認められる場合
増額 減額
増加の範囲内で増額できる 実際に減額した額を減額しなければならない
いつでも増減額できる(通知期限なし)
※契約内容の変更のために生じた取消料なども請求できる。(宿泊施設や交通機関のキャンセル料など)
っっq
3.利用人数の変更
・利用人員により代金が変動する旨を契約書面に記載していた場合
・契約について旅行業者の責めに帰すべき事由がない場合(旅行業者のミスでグループの1人が欠格事由に該当していたため、キャンセルになった)
例)
・客室の利用人数で旅行代金が変わる(4名1室 → 3名1室に変更)
・オプションツアーの人数変更など(グループの1名が体調不良を理由にキャンセルした)
旅行業者は、契約書面に記載したところによる旅行代金を変更することができる。

 

上記のように、「宿泊・運送の旅行サービス提供中止」ではなく、一部のサービスが提供できなくなった場合、旅行業者はそれを理由に旅行代金の変更をすることができません。

旅行代金の変更ができない場合
オーバーブッキング
・宿泊・運送機関などが過剰な予約を受けていたために、部屋数や座席数に不足が起こること
※サービス提供機関のミスであり旅行業者の責任ではないが、変更のために生じた旅行代金の増加分は、旅行者に請求できない。以下のような場合もオーバーブッキング扱いになる。
例)
・ホテルの施設が故障し、予約していた何部屋かが使えなくなったため、やむを得ず隣のホテルを利用した。
・航空機の機種が変わり、利用可能な座席数が不足した。

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