国内旅行実務 JR運賃・料金「運賃(団体・割引運賃)」




 

割引運賃の項目に入ります。「団体割引」「学生割引(学割)」「往復割引」など、数字に関する問題が多くなりますので、混同しないようにしっかりと覚えていきましょう。

はじめに、団体の種類と団体割引についてみていきましょう。団体には「普通団体」「学生団体」と「訪日観光団体」の3種類があり、以下の通り、時期と人数により割引額が決まっています。

団体の種類
普通団体 一般の乗客 8名以上の団体
※行程が第1期と第2期にまたがっている場合、全行程を第2期の割引率で計算する。
第1期(繁忙期)10%
第2期(第1期以外)15%
学生団体 JRの指定を受けた学校の生徒・児童8名以上添乗員・教職員等で構成され、教職員が引率する団体
※8名以上でも引率者がなく生徒・児童だけの団体は普通団体扱いとなる。
大人(小学生を含まない12歳以上)
通年50%
小児(6歳以上12歳未満と小学生)
通年30%
職員、添乗員等
通年30%
訪日観光団体 訪日観光客8名以上とガイドなどの同行者で構成された団体 通年15%

 

また、「普通団体」「学生団体」と「訪日観光団体」には、人数によって無賃扱いとなる特典があります。

無賃扱い
31人以上50人までの普通団体(訪日観光団体は15人以上50人まで)
1名が無賃扱いになる
・無賃扱いになる旅客は、特急料金やグリーン料金等も無料になる
・学生団体は適用外
・51人以上は50人ごとに1人が追加される(51~100:2人、101~150:3人・・・)

 

団体(普通・学生・訪日観光団体)は、更に人数構成により大きく2つの区分に分けられ、団体の予約には「保証金」や「発売日」など、いくつか制約があります。

団体の人数 構成
大口団体 専用の臨時列車が必要な人数の団体
小口団体 A小口団体 31人以上で構成された団体
B小口団体 8人以上30人以下で構成された団体

 

団体の予約・保証金
大口団体 ・出発日の9カ月前から2カ月前まで
保証金は団体旅客運賃の1割相当額
・保証金は、その後の運賃・料金に充当される
小口団体 ・出発日の9カ月前から14日前まで
保証金は団体旅客運賃の1割相当額
・指定席を利用する場合は、申込の9割(端数は切り捨て)に対して1人300円の保証金を支払う
・保証金は、その後の運賃・料金に充当される

 

団体乗車券の発売日
・運送引受け後、旅客の始発駅出発日1ヵ月前から発売
指定券を発売する場合、始発駅出発日の11日前までに購入しなければならない
※特に期限を定める場合を除く。

 

団体割引運賃の算出方法について、例題を使いながら解説していきます。

団体割引運賃の算出手順
例題)
大人40人の普通団体が、8月30日に東京−熱海間を乗車、9月1日に湯河原−東京間に乗車した場合の割引運賃を求める。
1.大人1人分の運賃を求める
東京−熱海間の営業キロは104.6km(1,980円)、湯河原−東京間の営業キロは99.1km(1,690円)
1,980円+1,690円=3,670円(1人分の運賃)
2.大人1人分の団体割引運賃を求める
(大人1人分)3,670円×(1−0.15)=3,119.5円⇨3,110円(端数整理)
※行程が第1期(10%)と第2期(15%)にまたがっている場合、全行程を第2期の割引率で計算する。
3.普通団体は31人以上50人までは1人分が無賃扱いになるので、全人数40人から1人を引いて(39人)、その人数に1人分の団体割引運賃(3,110円)を乗じる
3,110円×(40人−1人)=121,290円(全人員の団体割引運賃)

 

最後に「学生割引(学割)」「往復割引」について見ていきましょう。出題のポイントは「営業キロ」です。間違えないように気をつけましょう。

割引運賃
往復割引 営業キロ片道600㎞を超える(601km以上)JR区間を有効期間内に往復する場合
・学生割引と重複適用できる
・往路・復路それぞれ1割引になる
・割引計算後の10円未満の端数は切り捨て
・通過連絡運輸扱いの場合も、前後のJR区間で営業キロが条件に達していれば適用される
学生割引 学生とは、JRから指定を受けた中学・高校・大学・専修・各種学校の学生・生徒をいう。
営業キロ片道100㎞を超える(101km以上)JR区間を乗車する場合
・往復割引との重複適用ができる
・その区間の運賃が2割引になる
・割引計算後の10円未満の端数は切り捨て

 

学生割引と往復割引については、重複して適用することができます(復学割)。計算方法を間違えると違った数字になってしまいますので、計算順序をしっかり覚えましょう。

往復割引と学生割引を同時に利用する場合(計算の手順)
例題)
東京−岡山間の営業キロ:732.9km(10,670円)から復学割を計算する
1.往路分(片道分)の金額から往復割引(1割)を引く(端数は切捨て)
10,670円×(1−0.1)=9,603円 ⇨9,600円(端数整理)
2.1の金額から学生割引(2割)を引く(端数は切捨て)
9,600円×(1−0.2)=7,680円(往路分の復学割が完成)
3.往復料金なので、往路分の復学割を2倍にする
7,680×2=15,360円(往復の復学割が完成)

確認テスト 目次

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