国内旅行実務 貸切バス運賃・料金

国内実務「貸切バス運賃・料金」では、第2章「貸切バス約款」で学習した内容をとともにに出題されますので、約款と実務をセットに学習しましょう。問題数は約款と実務で2問ほどですが、内容的にはそれほど難しい問題は出題されませんので、確実に得点を取りたいところです。

それでは、過去問を使って出題ポイントをみていきましょう。

過去問(平成28年)
貸切バスによる運送に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(注1)「一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款 」「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の
変更命令について(平成26年月26日付 関東運輸局長公示)」 によるものとする。
(注2)選択肢イ.は、消費税の計算を行わないものとする。
ア. 帰庫が22時の運行において、バス会社は、帰庫後の点呼点検時間に当たる1時間分の深夜早朝運行料金を収受することができる。
イ. 「配車日が8月1日、1台10万円で契約した貸切バス1台 」の運送契約を、契約責任者の都合で7月25日に解除した場合、バス会社は契約責任者から3万円の違約料を申し受けることができる。
ウ. 法令により交替運転者の配置が義務付けられる場合、その他、交替運転者の配置について運送申込者と合意した場合には、バス会社は、交替運転者配置料金の上限額及び下限額の範囲内で計算した額の交替運転者配置料金を収受することができる。
エ. 宿泊を伴う2日間の運行において、契約責任者が観光ガイドとしてバスガイドのサービスを求めた場合、ガイド料は契約責任者の負担とすることができるが、バスガイドの宿泊費は契約責任者の負担とすることはできない。

選択肢を見る前に、貸切バスの運賃・料金について解説します。

運賃
・貸切バスの運賃・料金は、各地方運輸局に事前に届け出る
・時間制運賃とキロ制運賃の額を合算した額が貸切バスの運賃になる
①時間制運賃
ア.出庫前及び帰庫後の点呼・点検時間として前後1時間の合計2時間
イ.走行時間(出庫から帰路までの拘束時間、回送料金も含む)
上記ア.イの合計時間に運賃額を乗じた額が時間制運賃の額になる

・2日以上に渡る運送で宿泊を伴う場合、宿泊地に到着後の1時間、出発前の1時間を点呼・点検時間とする
・フェリーなどによる航送の場合、乗船から下船までの時間(上限8時間)を加算する
・走行時間の端数は、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げる

②キロ制運賃
・出庫から帰庫までの距離(回送も含む)に、運賃額を乗じた額がキロ制運賃の額になる
・走行距離の端数は、10㎞未満は10㎞に切り上げる

運賃の割引
1.身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法の適用を受ける団体 3割引
2.高校生以下の学生、幼稚園児の団体 2割引
※上記の2つの条件に該当する場合は、割引率の高いほうを選択する
料金
1.交代運転者配置料金
・安全確保のために交代の運転手を同乗させる場合
・法令で義務付けれれている場合(運行距離、ドライバーの労働時間)
・運送申込者と合意した場合
・時間制料金とキロ制料金の合算した料金を加算する
2.深夜早朝運航料金
・22時から5時までの間
・点呼・点検時間、回送時間も含まれる
・時間制運賃と交代運転者配置料金(用意した場合)の2割を上限に加算される
3.特殊車両割増運賃
・シートや装備など、標準的な装備を超えた車両に適用する料金
・5割以内の割増料金を加算する
4.その他運送に係る経費
・ガイド、有料道路利用料、駐車場代、乗務員の宿泊料などは、契約責任者の負担となる

以上を踏まえて、選択肢ア.ウ.エ.をみてみましょう。

選択肢ア. 帰庫が22時の運行において、バス会社は、帰庫後の点呼点検時間に当たる1時間分の深夜早朝運行料金を収受することができる。

22時から5時までは深夜早朝運航料金がかかり、この場合、帰庫後の1時間の点呼点検時間がこれにあたるため、深夜早朝運航料金を収受できるので、この選択肢は正解です。

選択肢ウ. 法令により交替運転者の配置が義務付けられる場合、その他、交替運転者の配置について運送申込者と合意した場合には、バス会社は、交替運転者配置料金の上限額及び下限額の範囲内で計算した額の交替運転者配置料金を収受することができる。

法令で義務付けれれている場合(運行距離、ドライバーの労働時間)や運送申込者と合意した場合は交替運転者配置料金を収受できるので、この選択肢は正解です。

選択肢エ. 宿泊を伴う2日間の運行において、契約責任者観光ガイドとしてバスガイドのサービスを求めた場合、ガイド料は契約責任者の負担とすることができるが、バスガイドの宿泊費は契約責任者の
負担とすることはできない。

ガイド、有料道路利用料、駐車場代、乗務員の宿泊料など、その他運送に係る経費は、契約責任者の負担となるため、バスガイドの宿泊費も契約責任者の負担となります。この選択肢は間違いです。

それでは、最後に残った選択肢イについて解説します。

選択肢イ. 「配車日が8月1日、1台10万円で契約した貸切バス1台 」の運送契約を、契約責任者の都合で7月25日に解除した場合、バス会社は契約責任者から3万円の違約料を申し受けることができる。

選択肢イは、契約責任者からの契約の解除(違約金)についての問題です。第2章「貸切バス約款(特別な取扱い)」で既に解説した内容ですが、ここであらためて復習してみましょう。

違約料
1.契約責任者(団体)からの契約解除
配車日の14日前から8日前まで 運賃及び料金の20%に相当する額
配車日の7日前から配車日時の24時間前まで 運賃及び料金の30%に相当する額 
24時間前から配車時日時(時刻)まで 運賃及び料金の50%に相当する額 
2.契約責任者からの契約解除(解除またはバス台数変更)
契約責任者(団体)が自己都合によりバスの台数を変更した場合、変更がバス台数の20%以上の減少を伴う場合、上の表の割合で違約料が発生する

例)1台100.000万円で10台を予約、10日前に3台キャンセルで合計7台に変更
・3/10台で30%の台数が減少したことになり、20%以上の減少を伴うため、違約金が発生する
・10日前なので20%の違約金が発生 100.000万円×20%×3台=60.000万円
60.000万円を違約金として支払わなければならない

3.バス会社の都合による解除・変更の場合は、契約責任者からの解除と同様の規定が適用される
※天災地変などのやむを得ない場合を除く

選択肢イに戻りますが、配車日が8月1日の契約を7月25日に解除したので、配車日から7日前となります。上の表を参照すると、7日前は30%の違約金が発生しますので、10万円✕0.3=3万円の違約金を支払わなければなりません。この選択肢は正解です。

正解:エ


過去問(平成28年)
次の行程(日帰り)で、学校教育法による中学校の生徒の団体が大型車の貸切バス(本問において、以下「大型バス」 という。)を利用するとき、この運賃について資料に基づき各設問に該当する答を、選択肢の中からそれぞれ1つ選びなさい。
(注1) 「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の変更命令について(平成26年月26日付 関東運輸局長公示)」 によるものとする。
(注2) この運行に係る料金は生じないものとする。
(注3) 消費税の計算は、行わないものとする。
〈行 程〉(日帰り)
・走行時間の合計は6時間10分
・実車距離は214キロ
なお、「実車距離 」とは、旅客の最初の乗車から最後の降車までの間に走行する距離をいい、回送
距離は含まない。
・回送距離の合計は67キロ
〈資 料〉
・時間制運賃の下限額は大型バス1時間当たり5,310円とし、この大型バスの時間制運賃は下限額を
もとに計算される。
・キロ制運賃の下限額は大型バス1キロ当たり120円とし、この大型バスのキロ制運賃は下限額をも
とに計算される。
① この行程における下限額をもとに計算した時間制運賃の額について、正しいものはどれか。
ア. 6時間10分 ⇒端数処理 ⇒6 時間×5,310円= 31,860円
イ. 6時間10分 ⇒端数処理 ⇒7時間×5,310円= 37,170円
ウ. 6時間10分+2時間=8時間10分 ⇒ 端数処理 ⇒ 8時間×5,310円= 42,480円
エ. 6時間10分+2時間=8時間10分 ⇒ 端数処理 ⇒ 9時間×5,310円= 47,790円
② この行程における下限額をもとに計算したキロ制運賃の額について、正しいものはどれか。
ア. 214キロ ⇒ 端数処理 ⇒ 210キロ×120円= 25,200円
イ. 214キロ ⇒ 端数処理 ⇒ 220キロ×120円= 26,400円
ウ. 214キロ+67キロ=281キロ ⇒ 端数処理 ⇒ 280キロ×120円= 33,600円
エ. 214キロ+67キロ=281キロ ⇒ 端数処理 ⇒ 290キロ×120円= 34,800円
③ この団体が支払うこととなる大型バスの運賃に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
ア. 下限額をもとに計算した時間制運賃の額とキロ制運賃の額を合算した運賃
イ. 下限額をもとに計算した時間制運賃の額とキロ制運賃の額を合算し1割引した運賃
ウ. 下限額をもとに計算した時間制運賃の額とキロ制運賃の額を合算し2割引した運賃
エ. 下限額をもとに計算した時間制運賃の額とキロ制運賃の額を合算し3割引した運賃

運賃計算の問題です。時間制運賃とキロ制運賃を実際に計算してみましょう。

①の問題 時間制運賃の額

(走行時間:6時間10分、1時間の運賃:5.310円) 出庫前及び帰庫後の点呼・点検時間として前後1時間の合計2時間を加えるので、走行時間の合計は8時間10分、30分未満は切り捨てるので、8時間に1時間の料金を乗じた額が運賃となります。 5.310円✕8時間=42.480円 よって、選択肢ウの6時間10分+2時間=8時間10分 ⇒ 端数処理 ⇒ 8時間×5,310円= 42,480円 が正解です。

②の問題 キロ制運賃の額

(実車距離:214キロ、回送距離の合計:67キロ、1キロ当たりの運賃:120円) キロ制運賃は回送距離も含まれるので、214㎞+67㎞=281㎞、10㎞未満は10㎞に切り上げるので、290㎞に120円を乗じた額がキロ制運賃の額となります。よって、選択肢エの214キロ+67キロ=281キロ ⇒ 端数処理 ⇒ 290キロ×120円= 34,800円 が正解です。

③の問題 運賃の額

運賃は、時間制運賃とキロ制運賃を合算した額が運賃となります。選択肢ウまたは選択肢エは、それぞれ学生割引と障碍者割引が適用される場合の運賃ですので、選択肢アの下限額をもとに計算した時間制運賃の額とキロ制運賃の額を合算した運賃 が正解です。 尚、設問の(注3) で「消費税の計算は、行わないものとする。」とありますので、消費税8%の上乗せは省略されています。

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