運送約款 国際航空運送約款「運賃及び経路・変更」




この項では、国際航空運送約款で適用される運賃や運航経路について詳しく解説していきます。当然ながら旅客の都合または予期せぬ事由により航空会社による経路の変更が行われます。

 

初めに、運賃についての規定です。

運賃
出発地空港から到達地空港までの運送にのみ適用される金額のこと
※空港地域内又は空港間若しくは空港と市内間の地上連絡輸送を含まない。(会社規則による例外あり)

 

適用運賃
1.会社またはその指定代理店により公示された運賃または会社規則に従い算出された運賃
・航空券の最初の搭乗用片により行われる運送開始日に適用される、航空券の発行日に有効な運賃
2.運賃の適用するクラスの1座席を旅客が使用することを保証する
3.会社規則に別段の定めのある場合または会社が特に認める場合を除き、1旅客が機内で確保できる座席は1座席に限る(ストレッチャー(Stretcher:簡易ベッド)、力士などの身体の大きな方、楽器の機内持ち込みで座席を使用など)
4.官公署または空港管理者が旅客に課す施設利用料などは、運賃及び料金には含まれず、旅客は別途これを支払わなければならない
5.航空会社が指定する通貨であれば、運賃または料金が公示されている通貨以外の通貨でも支払うことができる
・運賃または料金が公示されている通貨以外の通貨で支払われる場合、、支払いは各航空会社によって定められた換算率による

 

次に、航空運送の経路についてみていきましょう。航空輸送は特に出発地や目的地の天候など、経路の変更が頻繁におこなわれます。

経路
1.運賃に付随して公示された経路に対してのみ適用される
2.同一運賃で経路が複数ある場合、航空券の発行前に経路を指定することができる
※旅客が経路を指定しない場合、会社が経路を決定する。

 

経路の変更には、旅客の都合による変更、航空会社の都合による変更があります。初めに、旅客の都合による変更の申出についてみていきましょう。

経路の変更(旅客の申出)
1.未使用・運送開始前の航空券
・航空会社が航空券またはMCOを発行している場合
・航空券またはMCOの「最初の発行」欄に記載されている最初の発行運送人である場合
例)
成田-LAX-シカゴの航空券で成田-LAX間がJAL、LAX-シカゴ間がAmericanAirlineの場合、最初の発行運送人にであるJALに対し申し出ることにより経路等の変更ができる。
2.運送開始後の航空券
①運送区間を追加する場合
・提出される航空券またはMCOに記載されている到達地に到着する前に申出なければ、追加運送区間と当初の運送区間とを一体とした通し運賃での追加運送は行わない
②往復割引運賃を適用して発行された航空券
・経路等の変更により新しい旅程が往復割引運賃の適用条件を満たさなくなった場合、既に運送の終了した区間であっても往復割引運賃は適用できなくなる
3.変更後に適用される運賃及び料金
・航空券の発行日において運送開始日に適用されることとされていた運賃および料金とする
・航空券が未使用である場合、会社規則及び運賃規則に従って、航空券の変更時に有効な運賃及び料金とすることがある
・変更による運賃及び料金との差額は変更後に旅客から申し受け、または払い戻すべき金額があるときは払戻を手配する
4.変更後の有効期間
変更前の航空券またはMCOの有効期間満了日と同じ
未使用航空券に対し経路等の変更を申し出た場合、変更後の航空券の発行日を基準に起算する

 

次は、航空会社の都合による経路の変更です。天候や予約状況など、様々な都合による経路の取消や変更が予想されます。

経路の変更(航空会社の都合)
以下の事情が発生した場合、航空会社は経路の取消変更を行う。
1.航空便を取り消した場合(天候等によるキャンセル)
2.合理的な範囲を超えて航空便をスケジュールどおりに運航することができなかった場合
3.旅客の到達地若しくは途中降機地に寄航しなかった場合(悪天候による寄港地変更)
4.予約した便の座席を提供できなかった場合(オーバーブッキング、座席の故障)
5.旅客が予約している乗継便への接続を不能にした場合

上記のように、航空会社の都合により経路の変更や取消が行われた場合、旅客は以下の事項から選択して、旅行会社はその措置を講じなければなりません。

航空会社が講じる措置
1.空席のある同じ航空会社の他の航空便を利用する
2.航空券の未使用部分を裏書し他の航空会社に運送を依頼するか、他の輸送機関に輸送を依頼する(バス、鉄道など)
3.経路等の変更を行って、航空券またはその適用用片に記載されている到達地または途中降機地まで、その航空会社若しくは他の航空会社を利用、または他の輸送機関(鉄道・バスなど)により輸送する
4.払戻し
※航空便をスケジュールどおりに運航しなかった、または当該航空便のスケジュールを変更したために旅客が接続するために座席を予約しておいた会社の航空便に搭乗できなかった場合、航空会社は接続できなかったことに対して責任を負わない(乗り継ぎ便に間に合わなくても責任を負わない)

 

経路が変更になったために航空会社の変更や機体の変更が行われた場合、旅客が預けた手荷物の料金はどうなるのでしょうか。

変更による無料手荷物許容量
1.会社の都合により経路等の変更を行った旅客には、当該旅客が運賃を支払ったクラスの無料手荷物許容量がそのまま適用される
例)
他の航空会社では無料手荷物許容量を超えている場合でも、超過料金を支払わずに、変更前の無料手荷物許容量が適用される。
2.旅客が運賃を支払ったクラスより下のクラスへ変更されたことにより運賃の払戻を受けられる場合にも適用される
例)
ビジネスクラスを予約した旅客がエコノミークラスに変更された場合、運賃の差額分は払戻され、ビジネスクラスのままの無料手荷物許容量が適用される。

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